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海洋生分解性プラスチック PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)とは?特徴・PLAとの違い・用途・活用事例を解説

海洋プラスチック問題やマイクロプラスチック規制の強化により、環境対応型素材への注目が世界的に高まっています。
中でも近年注目されているのが、海洋でも分解する生分解性プラスチック「PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)」です。
PHAは、海水・土壌・淡水中でも微生物によって最終的に水とCO2に分解される特性を持ち、包装材・化粧品・繊維・食品容器など幅広い分野で活用が進んでいます。

今回の記事では、「生分解性プラスチックの基礎知識」をはじめ「PLAとの違い」「PHAの特徴・種類」「主な用途・採用事例」「ハイケムの取り組み」をわかりやすく解説します。

自社製品の環境対応を一段進化させたい方は、是非ご参考にしてみてください。

生分解性プラスチックの基礎知識

生分解性プラスチックとは、使用中は通常のプラスチックと同様に使え、使用後は自然界の微生物によって水とCO2に分解され、自然に還る性質を持つプラスチックのことをいいます。
これまで開発されてきた、石油由来のプラスチックの多くは、通常100年~1000年は分解しないと言われており、海洋プラスチック問題など様々な環境問題を引き起こしています。一方で、生分解性プラスチックは適切な環境下であれば、廃棄物として自然界に残らず土や水へ還ります。そのため、マイクロプラスチックなどとなり、回収が難しく自然環境に流出してしまう可能性が高い製品や、使い捨ての容器、包装材を中心に実用化が進んでいます。

生分解性プラスチックの種類

生分解性プラスチックにも通常のプラスチックと同様、様々な種類があります。その種類によって主な原料や生分解性の特徴を有しており、機能面や環境面においてどのような性能を求めるかによって樹脂の種類を選別する必要があります。

主な生分解性プラスチックの種類

PHAとPLAの違い

生分解性プラスチックの中でも、現在最も量産化が進み、世界的に普及しているのがPLA(ポリ乳酸)です。PLAは、トウモロコシやサトウキビなどの植物由来原料から製造されるバイオプラスチックとして注目されています。
一方で、PLAは生分解の際に一定条件のコンポスト環境が必要となる場合があり、自然環境下では分解が進みにくいという課題があります。
これに対し、PHAはPLAと同様に植物由来原料などを活用したバイオプラスチックでありながら、海水・淡水・土壌中など様々な自然環境下においても微生物の働きによって分解される、高い生分解性を有しています。
このように、PHAは海洋生分解性など環境性能の面でPLAを上回る特徴を持つ一方、現時点ではPLAと比較して生産コストが高い点が課題です。現在は、量産化技術や発酵技術の進展により、コスト低減に向けた開発が世界的に進められています。

海洋生分解性プラスチックPHAの特徴・魅力

PHAの特徴・魅力として挙げられるのは、「海洋生分解性」「優れた安全性」「多様な物性」の3点です。

海洋でも分解する高い生分解性

PHAの最大の特徴は海洋環境でも分解する高い生分解性です。海水・淡水・土壌中において、微生物の働きによって水とCO2に分解されます。
また、PHAは生分解のためにコンポスト設備を必要とせず、自然環境下でも分解が進む点が大きな特徴です。そのため、海洋へ流出する可能性のある包装材や繊維製品などを中心に注目が集まっています。
特に近年では、化粧品などに使用されるマイクロプラスチックビーズに対する規制強化が欧州を中心に進んでおり、海洋生分解性を有するPHAなどへの切り替え検討が進んでいます。

優れた安全性:食品包材にも使用可能

PHAはPLA同様生体適合性が高く、一部では医療分野や食品包材分野への活用も進んでいます。
これまで一部食品での使用が限定されていた「P3HB4HB」についても、2026年3月に日本の「食品用器具・容器包材ポジティブリスト」に掲載され、日本国内において正式に食品包材用途での使用が可能となりました。
このように、PHAは環境性能だけでなく、安全性の面でも期待が高まっている素材です。

物性が多様:様々な包装材に使用可能

PHAは、ホモポリマーや共重合タイプなど様々な種類があり、モノマーの種類や配合比率を調整することで、多彩な物性を実現できる点も特徴です。
そのため、柔軟性を求められるフィルム用途から、剛性や耐熱性が求められる成形品用途まで、幅広い包装材・製品への適用が可能です。
用途に応じて物性設計ができることから、近年では包装材、繊維、食品容器、日用品など様々な用途で開発・採用が進んでいます。

海洋生分解性プラスチックPHAの種類・
主な用途・活用分野

PHAには、モノマーの構成や配合比率の違いにより、様々な種類があります。種類ごとに物性や特徴が異なるため、用途に応じた材料選定が重要です。
ここでは、ハイケムが取り扱うPHAを中心に、それぞれの特徴、用途・活用分野を紹介します。

PHB

PHBは、PHAの中でも樹脂が硬く耐熱性が高いことが特徴です。
剛性が高いため、使い捨て食器やカトラリーなどの射出成形品に適しており、成形品分野を中心に活用が進んでいます。
また、比較的高い結晶性を持つことから、耐熱性が求められる用途への展開も期待されています。

PHBV

PHBVは、2種類のモノマーを共重合したPHAであり、モノマー比率を調整することで、硬質から軟質まで、幅広い物性設計が可能です。
この特徴を活かし、歯ブラシの柄や使い捨てスプーンなど、剛性と柔軟性の両方が求められる製品への開発が進められています。
また、柔軟性を活かした繊維用途も進んでおり、近年では海洋ゴミ問題への対応素材として、「漁網」などへの採用検討も進められています。
このように、PHBVは、環境性能と機能性を両立できる素材として注目されています。

P3HB4HB

P3HB4HBは、柔軟性に優れている点が特徴であり、フィルムやラミネート用途に適したPHAです。
また、単独の使用だけでなく、樹脂を柔らかくする軟質改質材としての用途も期待されています。
ハイケムでは、包装資材商社と共同で、P3HB4HBとPLAをブレンドした「PLAインフレーション成膜法フィルム」を開発しました。同製品は、生分解性プラスチックフィルムとして販売され、欧州の高級ブランド向けのスーツカバーとして採用されています。
さらに、メーカーと共同で、紙コップ内面に使用するラミネート素材も開発しています。紙などの材料と組み合わせることで、海洋分解性を有する紙コップを実現しています。

PHAはこんな用途・企業におすすめ

PHAは、海洋生分解性を有する次世代バイオプラスチックとして、包装材から日用品、化粧品、海洋関連製品まで幅広い分野で活用が期待されています。
ここでは、PHAの導入が期待される主な用途・業界をご紹介します。

環境対応包装材料(食品包装・アパレル包装など)

PHAは、フィルムから射出成形まで幅広い加工に対応できるため、環境対応型包装材として大きな可能性を持っています。
また、自然環境下での分解が進む特性を有しているため、万が一自然環境に流出した場合でも、微生物によって分解される点が特徴です。
そのため、食品包装、アパレル包装、ショッピングバッグ、緩衝材など、使い捨て用途を中心に活用が期待されています。

使い捨て容器・カトラリー

PHAは、紙コップ用ラミネート、紙トレー、ストロー、カトラリーなど、使い捨て容器分野でも採用が進んでいます。
中国では、航空機内で使用される紙コップのラミネート材やカトラリー、紙トレー、スナックの包装材、ストローなどへの活用が進められています。
また、日本でもスターバックスのストローにPHA素材が使用されるなど、環境対応包装へと切り替える企業が増加しています。

海洋流出リスクのある製品

海洋で使用する製品は、使用後に海洋に流出してしまうリスクがあります。
そのため、漁網、釣り糸、ルアーなど、海洋流出リスクの高い製品分野では、海洋生分解性を有するPHAへの期待が高まっています。
海洋ゴミ問題への対応素材として、環境配慮型フィッシング用品や水産関連資材への活用も進められています。

化粧品

欧州では、2023年9月にREACH規制が強化され、マイクロプラスチックに対する規制強化が段階的に導入されています。
化粧品分野では、EU域内で販売される化粧品において、マイクロプラスチックの使用制限が進められており、2035年までにはリップ製品やネイル製品を含むメイクアップ製品全般へのマイクロプラスチックの配合が禁止される予定です。
このような背景から、海洋生分解性を有するPHAは、化粧品用マイクロビーズ代替素材として注目されています。

環境配慮ブランド

化学繊維製の衣服を洗濯する際には、微細なマイクロファイバーが排水を通じて海洋へ流出していることが問題視されています。
PHAを繊維材料として活用することで、衣服から排出されるマイクロプラスチックについても、自然環境下で分解される可能性があります。
そのため、近年では、サステナビリティを重視する環境配慮型ブランドやアパレル企業を中心にPHA繊維への関心が高まっています。

ハイケムのPHA分野における取り組み

ハイケムでは、これまで培ってきた中国における化学ネットワークを活かし、中国大手生分解性メーカーと販売代理店契約を締結することで、環境素材の安定供給体制を構築しています。日中をつなぐ生分解性材料のサプライチェーンを構築し、日本市場への普及を推進しています。
また単なる素材供給にとどまらず、用途に応じた材料提案、日本市場向け加工・コンパウンド支援、新規用途に向けた共同開発などを通じて、PHA素材の社会実装に向けた取り組みを進めています。

世界最大のPHAメーカー「PhaBuilder」と
販売代理店契約を締結

ハイケムは2024年7月より世界最大級のPHAメーカー「Pha Builder」社と販売代理店契約を締結し、同社の革新的なPHA製品群を日本国内へ展開しています。
同社は清華大学が過去30年以上にわたり蓄積してきたノウハウを活用し、2024年には、湖北省に年産1万トン規模の世界最大規模のPHAプラントを稼働開始しました。今後は、さらに年産3万トン規模への拡張も計画されています。
ハイケムでは、同社との連携を通じて、高品質かつ安定供給可能なPHA材料を日本市場へ提供しています。

PHAを活用した化粧品用マイクロビーズ代替素材を
日中企業と共同開発

化粧品に含まれる微粒子状のマイクロプラスチックビーズは、排水から海洋に流れ出し、海洋汚染問題の一因となっています。近年では欧州を中心に規制強化も進んでいます。
こうした背景を受け、ハイケムでは、中国のPHAメーカー「PhaBuilder」と、日本で独自の粉体加工技術を有する日興リカ社と戦略的提携基本契約を締結しました。
現在、PHAを活用した化粧品用マイクロビーズ代替素材の共同開発および市場開拓を進めており、環境対応型化粧品素材としての実用化を目指しています。

環境対応の包装材料・素材をお探しなら

環境対応の包装材料、素材をお探しなら日中ファインケミカル貿易のリーディングカンパニーである「ハイケム株式会社」にぜひご相談ください。

ハイケムは中国最大のPLAメーカーである安徽豊原集団有限公司(豊原集団)と事業戦略パートナーシップ契約を締結するなど、生分解性材料のマーケット開拓にいち早く取り組んでまいりました。また、PLAのみならずポリブチレンアジペート/テレフタレート(PBAT)やPHAなど合計7種類の生分解性材料を輸入販売する体制を構築しており、お客様のニーズに合わせた最適なご提案が可能です。
また、日本市場向けの加工やコンパウンド支援など、お客様の開発パートナーとしての技術支援も可能です。

「生分解性プラスチックの導入を検討している」「PLA以外の選択肢を検討したい」「EU規制対応を進めたい」「包装材を環境対応化したい」「PHAの加工性を確認したい」「海洋生分解性プラスチックPHAについてもっと知りたい」という場合はどうぞお気軽にお問い合わせください。

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