中国ビジネスマナー 2024年08月23日

中国の次代を担う「チャイナユース」に迫る 
世界一の受験戦争!?中国の教育事情とは?

今回の「中国ビジネスマナー」は、今後の中国を背負う「チャイナユース(80後、90後、00後)」にスポットライトを当ててみました。ハイケムに在籍するチャイナユースたちの基本的な考え方や現状を語ってもらい、日本のビジネスパーソンの皆さんの新しい視点に繋げ、ビジネスの可能性を広げていただければと思います!

今回は、「チャイナユースの教育事情 ─ 高考(大学入試)からキャンパスライフ、恋愛、就職まで」
インタビューを通じて、世界でもその難易度の高さで知られる高考(大学入試)や入学後のキャンパスライフに恋愛事情、その先の就職事情までをお伝えします。

登場いただくメンバーは、中国の一流大学を卒業した、いわば世界一の受験戦争を勝ち抜かれた90後~00後の3名です!

メンバー紹介

朱さん
90後 遼寧省出身
瀋陽薬科大学 薬学部卒業後、日本で薬学の修士号を修了。
ハイケムに2021年に入社、現在は医薬品・ヘルスケア部の薬学課に所属。

謝さん
90後 江西省出身
中国石油大学 化学工学卒業後、インターンを経て2019年にハイケムに新卒入社。
現在は、農業化学品部に所属。

陳さん
00後 福建省出身
天津大学でバイオテクノロジー学部卒業後、2022年にハイケムに新卒入社。
現在は、C1事業部 炭素・イノベ課に所属。

中国の小学生事情 ─ 習い事は?中学受験は?


──まずは、中国の小学校生活について伺いたいです。教育制度は日本と同じ(6-3-3-4年生)なんですか?

 そうですね。日本と同じ教育制度です。

──小学生の時は、日本の小学生みたいに、習い事とかたくさんやったりするんですか?

 両親は基本的に私が興味を持ったものは積極的に教室に通わせてくれました。スポーツ系だと、民族舞踊、テコンドー、水泳、スケート。文化系だと、電子キーボード、バイオリン、ギター、歌、書道などなど。今は趣味としてしか続けていないものもありますが、色々やらせてもらえたからこそ、様々なことに興味を持てるようになったのかなと思っています。

──すごい!たくさんですね!

 私もバイオリンを5歳から13年間やっていました。大学ではちゃんと指導教師がいるクラシック部に4年間在籍しました。今でも家で電子バイオリンを楽しんでいて一生の趣味になっています。

 そうですね。私の故郷の福建省では私も同級生も習い事をたくさんさせられることはなかったですが、北京とか上海とか教育レベルの高いエリアでは習い事の選択肢がたくさんあると聞いたことがあります。ただ、最近では子供に課外活動をさせたい親も増えているように思います。

──日本では中学受験に熱心な親が多いようですが、中国でも中学受験はありますか?

 中国はあまり私立中学ってないんじゃないかな。各地域の公立の中学校に通う感じです。

 そうですね。私の出身地でも謝さんと同じです。

 私は自分の校区の学校のレベルがあまり高くなかったので中学受験しましたよ。私立の中学なのですが、教員やカリキュラムのレベルが高かったので各エリアから優秀な方が集まるような学校でした。

中国の中学・高校生事情 ─ 恋愛は?勉強量は?


──中学生・高校生の恋愛が禁止されていると聞いたことがあるのですが、本当ですか?

 まぁ、オフィシャルではないですが「禁止」でしたね。ただ、密かに恋愛している人も中にはいました。
恋愛においても、結構成績次第のところはありました。成績が悪いと先生が止めに入ったりもするのですが、成績が良い生徒の場合は黙認されていたり(笑)。


──女性のご意見をお聞きしたいですね。朱さんはどうでしたか?

 私のところも禁止だったので、高校生の時に恋愛は考えもしませんでしたね。ただ、クラスに3~4人はカップルがいたように記憶しています。

──若い世代はどうですか。こういう慣習も変わってきたりしているのでしょうか?

 世代というよりも、恋愛については地域性があるんじゃないかな。私の地域では、通常の恋愛だったら先生もあまり関わってこなかったです。

──高考(ガオカオ)にむけた受験勉強は、いつ頃から始めますか?

 高校3年生からですね。通常、中国の高校では、高校2年生の時に理系か文系かのコースを選び、高校2年終了までに高校の勉強を終わらせてしまいます。そして3年生の時は過去問などの受験勉強をただひたすら頑張る感じですね。私たちにとって、高考(ガオカオ)は人生で一番大切な試験です。よい大学を目標にしてただひたすら踏ん張る感じでした。

──1日にどれくらい勉強するんですか?

 私の場合、学校で週6日、朝は7時半から12時まで、午後は2時から5時半、さらに夜は6時半から9時までと、 1日10時間以上勉強しました。毎日9時過ぎの帰宅となるため、家族と相談して高校の隣に引っ越したくらいです。時間を確保しないと、すぐ成績が下がってしまうし、頑張らないと負けてしまう。あの時はとにかく必死でしたね。


 私の高校時代も、基本月曜から土曜は、朝の7時から夜の9時50分まで授業となり、日曜日の午後だけ休みとなります。それ以外も宿題があるので、深夜12時まで勉強しないといけない時もありました。

──たまにできたお休み何をするんですか?

 ほぼ勉強していました(笑)。

──(笑)。

 私の地域では、学校は月曜日から金曜日で、時間帯は午前7時から午後9時半まででした。ただ、やっぱり土日は家で勉強していましたね。

──予備校とか塾ではなくて高校が全部勉強を見てくれるのは面白いですね。

 予備校はあまり聞いたことがないですね。塾は高校1年生とか2年生の週末に行く人はいたかもしれません。ただ本格的な高3の受験勉強は高校が全力でバックアップしてくれる感じです。

中国の大学受験:高考(ガオカオ)のシステム ─ 志望校はどう選ぶ?

──志望校はどのように選ぶのですか?

 地域によって多少方法が異なるのかもしれませんが、当時の遼寧省の場合、まず試験を受けて自己採点をして予想スコアを算出します。その予想スコアを元に志望校を選びました。大学のランクはいくつかに分かれていて、基本的にスコアベースに選べます。私の場合は、3つの大学をピックアップし、そのうちの1つに進学することになりました。

専攻については、文系と理系で大きく分けています。私は高校では理系コースを選択したので、専攻を選択する時は物理や化学関連を選択しました。そして最終的に、自分の趣味も考慮して瀋陽薬科大学の薬学部に進学することにしました。



 江西省においても試験を受けて予想スコアを出しそこから志望校を選択するという流れは一緒でした。ただ、私の場合志望校を6つまで優先順位をつけて選ぶことができました。私も理系コースでしたので、理系を学べる大学である中国石油大学を選び合格することができました。

中国の高考の難しいところは、受験の難易度や競争率は受験年度や地域によって変わることですね。

中国のキャンパスライフ ─ 寮ってどんな感じ?学費は?


──中国の大学のキャンパスライフってどんな感じですか?

 大学生の場合、キャンパスの中での寮生活が一般的です。大体4人部屋か6人部屋で、私の場合は6人部屋で4年暮らしました。夜は寮の仲間たちと一緒に串焼きを食べに行ったり、楽しい思い出がたくさんあります。卒業5年目の今も寮の皆とよく連絡を取り合っています。

 私も寮で、4人部屋でしたね。皆で一緒に暮らし、一緒に食事をし、授業に出席するので、卒業してからは、こういう機会がなくなったので本当に懐かしいですね。

 天津大学の場合はキャンパスがいくつかあって、寮が4人部屋のキャンパスと6人部屋のキャンパスがありました。私は4人部屋でしたね。寮もあるし、食堂もあるし、キャンパス内だけで生活していけるインフラが全て整っている感じです。

 寮の費用もめちゃくちゃ安いです。たしか私の場合は、学費と家賃と光熱費とかまとめても、日本円で換算すると、1人当たり年間20万円くらい。

──学費も含めてその値段ですか!?安いですね!

 私は寮の費用は1年で、1,200元(約2万5千円)くらいでした。


──就職活動はどんな感じなのですか?

 大学4年の前半にスタートでして4年の後半に終わる感じですかね。日本と違う点は学生が会社を訪問するのではなく、各企業が大学で説明会をするパターンが多いですね。

──インターンなんかもよく行われていたりしますか?

 私は大学4年生の時にハイケムのインターンに参加し、そのまま希望してハイケムに入社しました。

 私は大学でハイケムの募集要項を見て採用面接を受けました。当時はコロナ禍だったので、実際に学校での説明会はありませんでしたが、ネットを通じて応募した感じです。

──中国の大学生は修士課程や博士課程に進む人が多い印象です。

 私の大学は理工大だったので石化業界で働きたいという明確な目標を持っている人が多く、学部卒で就職する人も多かったのですが、就職活動の際の競争力に不安を感じる人は修士を選択する人もいましたね。

私の感覚ですが、特に理系の場合は、「修士進学→就職活動の競争力向上」「博士進学→研究志向、学問を究めたい」というイメージです。


 そうですね。私の場合、専攻がバイオテクノロジーだったので、同級生には更に上を目指しアメリカ留学を目指す人も多かったです。基本的に選んでいる専攻により就職の難易度が変わってくるのはその通りだと思います。例えばソフトウェア工学などのIT系の人は大学卒業してそのまま就職する人が多い。生物や物理・化工系は修士を目指す人が多い感覚です。

日本と中国の教育環境の違いについて皆で議論してみた


──最後に、日本と中国の教育環境の違いについてどう思いますか?

 中国は主に高校生の時は勉強ばっかりで成績重視のところはありますよね。でも両国の状況は全く違うのでそもそも比較が難しいと思います。

 私も日本の高校の状況をよく把握していませんが、勉強以外にも部活があると聞いています。高校時代から自分の趣味をやれるのはすごくいい経験だなと思います。

 日本のアニメとか映画って高校時代を舞台にしたものが多いですよね。スラムダンクは高校が舞台だし、夏の甲子園は青春という感じがしますね。

──確かに、日本って恋愛もスポーツも、人生の中で高校くらいに青春を持ってきたがるかもしれません。

 中国には甲子園はないですが、バスケットやサッカーなどの部活動が盛んな地域もあります。校庭で汗をかいたあと、昼下がりの教室に吹く風の中仲間とおしゃべりをしたり、中国でも勉強だけでなく青春を感じるような学生時代の思い出はあります。

 そうですね。どちらが良いというわけではなく、ただ違うだけなんだと思います。

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