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HighChem Insights 2024年02月06日

春節特別企画 高潮社長&高裕一本部長 親子対談 
1兆円へ向けて:2023年度の振り返り&2024年度の戦略

中国の旧正月ももう目前ですね。本日のWe are the BRIDGEでは、春節特別企画として、今回で3回目となる高潮社長と高裕一本部長による親子対談を実施しました!

2023年4月に、会社創立25周年を迎えたハイケム。ヨーロッパ法人が営業を開始し、中国の陝西省楡林市では世界最大級の生産180万トンのSEG®プラントがフル稼働するなど、話題に事欠かない一年でした。

そんな2023年度を、社長として・本部長として、お二人はどのように受け止めていたのか? 
ハイケムが目指す売上高1兆円という長期ビジョン達成に向けた、2024年度の戦略とは?

お二人の本音が詰まったインタビューになっております。ぜひ、ご一読くださいませ!

2023年は波乱万丈の一年!

——2023年をひと言で表すと、どんな一年でしたか?

社長 2023年をひと言で表すならやはり「波乱万丈の一年」かな。

本部長 波乱万丈なのは毎度いつものことですけどね(笑)。
特に2023年は、中国の経済状況が明確に悪化し日本の化学産業が伸び悩み、業績を伸ばすのはとても難しい環境でした。そんな中でも、売上高は前年比20%増の約1,200億円となり、1兆円へ向け着実に成長を果たすことができました。


社長 厳しい状況でも売上高を伸ばせたのは、不況下で伸び悩む事業があっても別の事業で良い結果を出せるような仕組みをハイケム内に築けているからです。特に2023年度は貿易事業が頑張り、全体の成長をけん引してくれました。

本部長 また、サステナベーションのセグメントにおいては、C1ケミカル・触媒関連の事業に着手してから10年以上が経過し、着実にチームとしてレベルアップを果たしてきていると感じます。繰り返し発生する課題やトラブルに対して、日中連携のチームで挑んでいける体制が整ってきた。そして、よりステージが高いプロジェクトも舞い込んでくるようになってきています。大変な中でも大切な気づきがいくつもあった1年でした。

——2023年はさまざまな出来事がありましたが、お二人の印象に残っていることをお聞かせ下さい。

社長 2023年で一番印象に残っている出来事は、当社がライセンスし投資も行っている、陝西省楡林市のSEG®プラントがフル稼働を果たせたことです。


石炭由来の合成ガスを原料にした世界最大の年産180万トンのSEG®プラントは、2022年に稼働を開始しましたが、稼働1年目にして生産キャパを超えるエチレングリコールを生産できたことは、業界内でも前例がなく、市場を驚かせました。


本部長 そうですね。また、1兆円に向けた重点事業となる電池事業領域では、執行体制が整ったというだけでなく、小さな成果が出始めているという、このスピード感も印象深いです。電池材料事業部は立ち上がり1年の新しい部署ですが、中国支店の関連部署もけん引しながら、研究開発でもマーケティングでも着実に歩みを進めています。将来に向けて撒いた種が少しずつ芽を出し始めているのだと感じます。

逆境の中にこそチャンスが多い

——2024年の展望として、日本と中国を取り巻くマクロ環境をどう見られていますか?

本部長 昨今、中国経済の回復が懸念されていますが、僕も短期間での回復は難しいと見ています。

単年では突発的な要因やさまざまな産業セクターの需給バランスがかけ合わさり、どんな変化が起こるかは読めません。しかし、長期のトレンドで見ると、中国は以前のように劇的な成長が続く国ではなくなっていきます。

産業構造も変化していくでしょう。不動産はかなり需要を先取りした開発をしてきましたから、これに紐づく建設機械や資材などへの設備投資はしばらく弱まります。不動産を除いた民間需要についても、基礎的な部材製品の製造装置や、海外受注型のOEM組み立てラインに対する設備投資から、EVやヘルスケアなど、より付加価値の高いトレンド型製品への研究開発投資が強まるでしょう。人件費の上昇につれて、高付加価値なものを作らないといけなくなるのは日本と同じ流れです。

加えて、ここ20年で民間の経済水準は劇的に上がりました。今後日本以上に巨大な内需が生活の豊かさ、いわゆるQOLを求めていきますから、高付加価値な製品や産業への投資が加速するのは必然でしょう。
ただしその中でも「グリーン化」の流れが止まることはないので、重厚長大型の製造業であっても低炭素技術への投資はますます大きくなっていきます。


中国経済もこれから次のフェーズへ移り、日本がかつて経験してきた良い面・悪い面ともに直面する展開が待っているでしょう。ハイケムとしては過去の経験を生かしつつ、この環境下に潜むチャンスを逃さないようにしたいです。


社長 中国経済そのものに対しては大きな期待をしていませんが、不況下でもハイケムにできることは幅広く存在します。不況でも需要が減らず、必要とされることはたくさんありますからね。

そうしたチャンスを掴んでいけば、今後も売上高2割成長を継続させ、長期ビジョンに掲げる1兆円企業の実現も夢ではない

日本と中国の強みをグローバルへ

——ハイケムのグローバル化についての考えをお聞かせ下さい。


社長 2023年は欧州でハンガリー法人を設立し、今年はインドやサウジアラビアなどへの事業展開も企画しており、ハイケムのグローバル化は着実に進展しています。

今後の展望を考える上で、ここ数年注力してきた楡林での基礎化学品の販売プラットフォームを構築できたことは大きい。今年は10万トンDMCも生産開始となる見込みですが、今後もこのプラットフォームでは多種多様の基礎化学品の生産が予定されています。楡林の地が持つ圧倒的なコスト競争力の基礎化学品を、日中だけでなくヨーロッパやアメリカ、インド、東南アジアなど、グローバルに販売体制を整備できれば、1兆円に向けた売上伸展も大いに期待できます。

また最近では、サステナビリティ・環境対応という難しい課題に対しても実直に、誠実に、一つひとつ丁寧に仕事を積み上げてきた結果、その姿勢や実力が評価され、日本と中国だけでなく世界中で事業展開をするようなグローバル大企業からの案件も増えてきている。このような流れもハイケムのグローバル化へ向けた着実な布石となっています。


本部長 グローバル化を進めるにあたっては、これまでの日中間における強みに依存しすぎないという意識が重要でしょう。ハイケムは確かに「日中間」の「化学品」ビジネスが基礎であり屋台骨です。しかし得意だからと言っていつまでも得意に依存しすぎていては時代や環境の変化に取り残され、会社や事業の停滞につながります。

企業も人間も一緒ですが、自身が成長していくために「自身の強みを活かすこと」と「自身の強みに依存すること」を混同してはいけません。日本と中国の強みをベースにグローバル化を推進し、更なる成長につなげる必要があります

「We are the BRIDGE」で目指す1兆円、All for 1 for All

——2034年度までに1兆円企業を目指すという長期ビジョンですが、2024年度の進捗目標や進む方向性はどのようにお考えですか?

本部長 1兆円へ向けた分かりやすい指標としては、毎年22%の成長継続を実現する必要があります。もちろん毎年毎年そんなにうまくいくばっかりではないと思いますが、2024年度は1,400億が目標になってきます。

社長 僕は2024年は1,500億も可能性はあると思っている。ただし、売上を伸ばすだけでなく、同時に利益を伸ばすことも重要です。利益が伸びていかなければ、設備投資や人的資本への投資も滞り、長期的な会社の成長は望めません


本部長 ここ数年、社長が注力してきた楡林の巨大な園区におけるプロジェクトを推進する中国の北方本部において、売上が伸びていく根拠ができたことは、1兆円企業を目指す上で大きな意味を持ちます。なぜなら世界のデカップリングの動きが逆に有利に働くからです。

基礎化学品は巨大な装置産業であり巨大な設備投資が必要であるにも関わらず利幅は薄い。半導体や電池など、世界中で重要製品の国産化回帰の流れは強まっていますが、いまさら利幅の薄い巨大な装置にお金を回そうとは思わないでしょう。つまり基礎化学品においてはコスト優位性と販売網がものを言う世界になりますし、楡林のプラットフォームには圧倒的なコスト優位性があります。よって、いち早く世界中に確実な販売網を築いていければかなりの確度で売上は伸びていきます。

しかしながらやはり基礎化学品の利幅が薄いことに変わりはありません。利益を伸ばしていくためには高付加価値な製品の取り扱いを拡大することにも注力していく必要があります。

これに付随して投資の仕方も考え直していかなければなりません。これまでのように商権獲得を主眼に置いたいわゆる商社的な投資から、一つの投資で複数の顧客や複数の商品、事業に展開できるような「製造機能」としての投資を主眼に置いていく必要があります。利益を伸ばし利益率を改善していくには投資における資本効率を上げていく必要があります。

サステナベーション部門ではご存知の通りアパレルや電池など様々に取り組んでいますが、東京の貿易部門でも、化学品、ライフサイエンス、エレクトロニクスの分野に分け、それぞれが理解を深めてオリジナリティや付加価値の付け方を考える動きができてきています。それがさらに周りを引っ張っていく流れも起きていて非常に良い空気が生まれ始めています。社員一人ひとりのレベルアップがハイケムを次のステージへ導いてくれるでしょう。


社長 社員の意識改革も進んでいると感じています。ただ商品を仕入れて売るというだけでなく、いかにより大きな付加価値を付けていくか、そのために相手の立場にたって考えた提案ができるようになってきています。今後ハイケムが成長していく上で、社員たちのこうした成長は、何より心強いことです。

「We are the BRIDGE」のミッション・ビジョンの元、しっかりと社会に価値を提供し、All for 1 for Allで一丸となって1兆円を目指していきましょう

AI時代にこそ大切になる「We are the BRIDGE」


本部長 AIの登場によって単純作業だけでなく、言語間の壁やクリエイティビティーの壁もどんどんなくなってきています。今はまだAI「ソフト」として存在し、自ら使いに行かなければAIには接しない状況です。しかしかなり近い将来AIが「ハード」に組み込まれるようになるでしょうし、そうなれば意識せずともAIのサポートは日常のそこかしこに存在するようになるでしょう。

例えばパソコンやスマホというハードに組み込まれ、WEB会議を立ち上げればどんな国の人とも、言語だけでなくその国の文化やニュアンスの違いが自然に是正された、違和感のないコミュニケーションができる未来は必ず来ます。そしてその会議における議題の専門性についても、検索せずともすぐ横でサポートされていくでしょう。そうなればハイケムにとっても早晩「言語」や「商習慣」という武器が通じなくなる日は来ます。

しかしその日を迎えた時に、そしてその時だけでなくさらに未来にわたって、どんなに時代や環境が変化しても通用する強みや武器があります。それはやはり挑戦をする勇気やそれを続けていく忍耐、前向きな挑戦をした結果の間違いや失敗に対して許容する心といった人間的な強さ、数値化できない非認知能力です。そのような非認知能力を一人りひとりの社員が大切にし、人間として成長していこうとする企業文化そのものが、数値化可能な認知能力がAIに代替されていくこれからの時代にはますます強みとなっていくでしょう。

天の時、地の利、人の和を大切にし、勇気、忍耐、許容をもって挑戦し続けていく
それこそがハイケムが目指す「We are the BRIDGE」です

テクノロジーにしても国際情勢にしても激動の時代ですが、AI技術や低炭素技術を既存の事業にいかに取り入れて活用していくかという試行錯誤と同時に、社員一人ひとりが人間として精神的に成長していくことを志していけば、必ず1兆円企業に、そして誰かと誰かの架け橋になり続けられると信じています。


社長 僕がよく言うことですが、人は自分で望んだ以上に大きくはなれない。前を向いていれば人生はワクワクするものです。特に若者の皆さんは、厳しい時代こそ前を向いて、どんどん新しい世界、新しい挑戦に飛び込んでいってください。

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