ハイケムで働くパパ社員座談会 検証:ハイケムはパパも働きやすい会社か
王さん 2013年入社
中国で日本語学科の大学を卒業。同じ大学を卒業した妻と共に日本で就職するため来日。大学の先輩からの紹介でハイケムの採用面接を受け入社。
家族構成:パパ(王さん)、ママ(フルタイム勤務)、娘(7歳)、娘(3歳)、祖父母(パパかママの祖父母が半年ごとに交代で中国から来日し、子育てをサポート)
余さん 2022年9月入社
日本の大学院を修了後、中国で就職。当時、ハイケムの医薬部担当者と繋がりを持つ。その後再び来日し、博士課程でDNAの研究に携わる。修了後、大手メーカー研究所勤務を経てハイケムへ入社。
家族構成:パパ(余さん)、ママ(フルタイム勤務)、息子(5歳)、祖父母(余さんのご両親)
佐井さん 2014年入社
日本の大学を卒業後、日本の半導体商社で経理職を担当。残業が多く、管理職は誰も笑っていない状況から見切りを付け、幸せな管理職を目指してハイケムへ転職。趣味はゴルフ。
家族構成:パパ(佐井さん)、ママ(パートタイム勤務)、息子(11歳)、息子(9歳)
家庭におけるパパの役割とは?
——皆さんのご家庭では、パパはどんな役割ですか?
王 そうですね……私はお金を払う役割ですね。外食時にお金を払ったり、妻に言われて通販の注文をしたり、家庭ではそういう仕事がメインですね。
女の子は3~4歳になると、パパ嫌いになりますよね(涙)。でも毎朝、下の子を保育園へ送る仕事もあります。
余・佐井 それは大事な仕事だ。
王 上の子はもう7歳ですから、自分の友達と遊びに行ってしまいます。だから、娘2人とは、あんまり仲良くしている実感がないです。買い物に行って食べたいお菓子があるときは「パパと仲良くするから、お願い買って」みたいになるんですけど、それだけでも幸せです。
余「科学について子どもでも理解できる言葉で説明し、分かりやすい話し方のスキルを磨いている」
余 うちは男の子なので、お風呂に入れるのは私の役割です。トイレも自分で行けるようになりましたが、外出先では私が一緒に行きます。男女の意識を持たせるために、妻は分けたいようです。
それから、食事作りやお皿洗いを手伝ったり、寝る前の絵本の読み聞かせを妻と交代でやったりしています。あと、工作を作ってあげたり、科学を教えたりもしています。
簡単な内容の絵本ばかりでなく科学を学べるような物を選び、博物館へ行ったら展示を見るだけでなく、子どもにも理解できる言葉で頑張って説明しています。誰にでも理解できるように説明できたら、将来、部下を指導するときにも役立つでしょう。
分かりやすく説明するスキルは、子育てにも仕事にも役立つと思います。でも、頑張って説明しても、子どもは半分くらいしか理解していないかもしれません。
佐井 私の場合は力を使うゴミ箱の処理と床掃除、窓拭き、洗車が担当です。窓拭きは毎日ではありませんが、たまに外の窓を拭いていて、妻は窓ガラスを触ったことはないですね。洗車は手洗いではないですけど、私がやっています。
あと、毎週金曜日は在宅勤務をしていて、この日は夜に子どもを塾まで迎えに行きます。普段は妻がやっていますが片道30分くらいかかるので、在宅勤務の日は私の担当です。
最近は子どもの勉強を見るのも仕事になりました。最初は厳しくしたこともあって、私と勉強したがらなかったんですけど、5年生にもなると内容が難しいようで私に頼ってくれています。
王 私のところはまだ1年生なので、音読や10以内の足し算・引き算など、簡単な内容ですが、子どもの勉強を見ることはありますね。
あと、うちの子どもはピアノを習っているので、上手く弾けているか聞くこともあります。私はピアノに詳しくないので、頑張って弾いていたら「いいな」って思うんですけど、妻は小さい頃にピアノを習っていたこともあって、厳しく指導しています。私はもう十分じゃないかと思うんですけどね。
でも、練習をしたがらないときは怒ります。子どもはやっぱり遊びたいでしょうけど、ちゃんと練習しない時は親として正しい姿勢を見せるべきだと思います。
佐井 私は妻に「なんでそんなに厳しくするんだ!」って怒って、子どもの人気を得ようとしています。子どもたちが「パパ好き!」ってなるかなって(笑)。
子育てという共通テーマで仕事もスムーズに
——ハイケムで働くパパ目線で感じるハイケムの良さや、子育てと仕事の繋がりを感じることはありますか?
王 ハイケムは日本で子育てしている中国人社員も多くて、子育てに関する情報交換ができる職場なのはいいですね。
例えば、日本でもっと中国語を学ばせたい場合、どこの学校や先生が良い教え方をしているとか、同僚から紹介してもらえます。
今、うちの子も中国の漢字を勉強し始めていますが、日本語の学習にも効果があるようです。ひとつの文字にいろんな読み方があって、日本語にも通じるところがあると知る機会になっています。
数ヶ月前、学校内の一年生でひとりだけ、漢字検定に合格できました。それも、中国語学習の効果だと感じています。
佐井 ハイケムの社員は子どもに対する教育レベルが高いですよね。
余 ハイケムでは子どもを連れて参加できるイベントも多くて、子どもを通じて仕事の繋がりを作れるのも助かっています。僕はまだ入社してから日が浅いのですが、子どもと一緒にイベントに参加したら、皆さんと距離が近くなりました。
また、前職では周りが日本人の子どもたちばかりだったので、接し方に困ったこともあります。でもハイケムに来たら、周りに中国人の家族もたくさんいて、一緒に遊ぶ友達もたくさんできました。
王「ハイケムは、子どもを連れて参加できるイベントも多く、仕事の関係もスムーズに作ることができる」
王 2015年の社員旅行で、僕の娘と佐井さんの息子さんが一緒に遊んでいたのが、接点を持つきっかけになったことを思い出しました。子どもが一緒に遊んでいたから挨拶する機会ができて、親同士も繋がった感じです。
子どもを通じて面識ができ、仕事の関係がスムーズに作れるのもハイケムの良いところだと思います。仕事で声をかけたいときも「お子さん、最近どうですか?」とか「どこどこ公園に子どもと遊びに行きました」とか、対話の切り口に子どもの話題は役立ちます。そこから仕事の話もスムーズに進められることが多いですね。
佐井 私のところは子どもが塾へ通うようになったので、最近はイベントにあまり参加できていないですね。でも、子ども外交とでも言えばいいのか、確かにそういうのはありますね。
余 あと、ハイケム25周年のときに作られたパパ・ママ検定の動画は会社説明会やOB訪問で使われていて、視聴された学生さんはみんな感動して泣きそうになるんです。
それも会社を宣伝する材料になり、人事採用に役立っていると思います。社員と子どもの繋がり、感動の瞬間、それもハイケムのアピールできる部分じゃないでしょうか。
https://youtu.be/AhaQj-KrlY8(外部リンク)
子どもの頃から異文化に触れ、意識する環境にいること
——日本で子育てしている中国人同士、関心事も似ているから共通テーマを持ちやすいのかもしれませんね。
佐井 それはあるでしょうね。子どものことでも、同じ小学校に通う周りの子とは違うと感じる部分はあります。それは差別じゃないけれど、何かしら差異を感じる部分だから共通言語になるんでしょうね。子どもたちも多分、感じているものがあるはずです。
王 ありますね。私の上の子も、5歳くらいから自分のルーツに対する疑問を持っているようです。なぜ自分の両親が中国語をしゃべっているのに他の子たちの両親は日本語なのか、そもそも名前も発音から違う、そういうところから周りとの違いを意識し始めたようです。
そこは「中国人だから」「日本人だから」と、決めつけるものではないですよね。国籍に関係なく仲良くして、グローバルな視野を持ってくれればと思います。将来もっと別の国に行くかもしれませんし、異文化を感じながら自分の思う道を選べれば良いですよね。
上の子が通う学校のクラスには、日本人と中国人のほかに、韓国人やバングラデシュ人の子もいて、わずか30人ほどの中に4国籍が集まっている状況です。特に国籍で差別されることもないですし、非常に良い環境だと思います。
最近は、日本人の保護者の方たちも他国の人をもっと知りたい・付き合いたいと思ってくれているようで、家族ぐるみでたこ焼きパーティーやバーベキューをしています。中国の生活様式やおすすめスポットを聞かれることもあり、中国に対する興味も持ってもらえているようです。
余 私の子は中華学校に通わせているので、日本人の子どもは少ない環境です。国籍の違いで差別はないですね。
1~2歳の子どもは言葉がわからなくても一緒に遊べますけど、3~4歳になってくると言葉の違いで意識することもあるでしょう。だから、私は子どもが3歳くらいの頃からずっと、国籍にこだわらず仲良くする意識付けをしてきました。
子どもの頃から日本にいて、日本語と中国語の両方を話せたらどちらの国の人とも交流できます。さらに他の国・地域のことも学べば、もっと交流範囲は広がります。3歳頃から子どもにそう伝えてきたからか、今は英語にも興味を持っていて、将来は世界中どこの人とも話せるよう、英語も勉強し始めました。
佐井「心が向く場所が自身の国籍であり、故郷」
佐井 私は帰化していることもあって、子どもから「ぼくは何人になるの?」っていう質問を結構されます。私が日本人になっているから、自分は中国と何の関係があるのか疑問を感じているんだと思います。
その点について、私は決定的な回答はしていません。心が向く場所が自身の国籍であり、故郷だと。日本人として生きてもいいし、中国人として日本に居ることも、日本人として中国に行くことも、将来的にはあるかもしれません。
それは親に言われて決めるのではなく、子どもが自分で決めることだと思います。だから表面的な回答はできないし、していないですね。自分たちで好きなように解釈して、自分の答えを持てば良いと思います。
中国出身のパパ目線で見た日本の子育て事情とは?
——中国出身のパパ目線で見た日本の子育てについて、良いなと思うところはありますか?
王 日本は子育てする環境として、福祉が充実していると思います。子どもの医療費はほぼ無料ですし、少子化だからかもしれませんが、病院もあまり混んでいません。
中国だと子どもが病気にかかったら、みんな専門性の高い病院に行くので、何時間も待つことになります。一度、子どもが夜に発熱して病院に行ったことがありますが、深夜でも自分の前に400人待っていました。
あと、保育園や学校の先生がみんな親切で、子どもを安心して預けられます。同じ通学路の子どもたちを集めて集団登校する文化があって、地域のおじいちゃん・おばあちゃんたちも案内してくれるから、非常に安心です。
中国では事故や事件の多さから、中学生でも親が送り迎えしないと不安です。日本は親として非常に安心して子どもを学校に送り出せる環境で、心理的にも楽ですね。
——逆に、日本のここが変だなと思うところはありますか?
余 日本だと子どもを保育園に入れるには、両親そろって就労している状態じゃないとダメです。でも、両親が共働きをするにはまず、子どもの預け先が決まっていないといけない、そんな矛盾がありますよね。
中国ではそういう問題はなくて、子どもの預け先もたくさんあります。日本は特に少子化ですし、もっと子どもを育てやすい環境に改善していってくれたらなと思います。
それから、王さんは日本の病院の良いところを挙げていましたが、保守的な治療が多い点は改善の余地があるように感じるときもあります。中国だと少しの咳でも細かく検査して、やり過ぎにも感じますが症状を軽く見ない場合が多いです。文化の違いかもしれませんが、日本の病院は対症療法的なアプローチがほとんどで、患者側が強く言わないと踏み込んだ治療をしないですよね。
王 自宅近くに中学校があるんですが、中学生の男女が手を繋いで堂々と歩いていたりするんです。中国ではこんなこと、なかなか許されないんですけど、娘がいる身としては心配です(笑)。
——確かに、パパは心配になりますね(笑)。
佐井 娘さんがいるパパは心配するのが早いなぁ。
王 中国では高校卒業まで基本、恋愛禁止です。中学1年や2年は早いですね。
——高校卒業まで禁止!?それは日本の感覚だと遅いような気がします。
佐井 高校卒業までというより、良い大学に受かるまでと言った方がいいかもしれないですね。結局、親としては良い大学に入れなきゃいけないので、教育の競争だと思うんですよね。
王 私は中学生が手を繋ぐ姿を見ると心配になりますが、ここも文化の違いですね。