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イベント 2024年06月18日

北海道大学と共同ラボを設立! 
植物由来で未来のペットボトルや繊維の量産化を目指す

左から:ハイケム東京研究所 青島敬之所長、ハイケム(株)高裕一取締役
北海道大学 触媒科学研究所 清水研一所長、北海道大学 触媒科学研究所 中島清隆教授

ハイケムと北海道大学は産業創出講座「ハイケム北大R&Dラボ」を設立し、6月13日に北海道大学の百年記念会館にて共同記者会見を行いました。記者会見では、共同研究のテーマとなる、植物由来の未来のペットボトルや繊維の実用化に向けた画期的な研究の概要や、両社のタッグによってどのような相乗効果が生み出されるかなどについてプレゼンテーションを行いました。本日はその記者会見の模様、プレゼンテーションの概要などについてご紹介します!

触媒研究のトップを走る北海道大学と実用化実績を複数持つ商社がタッグを組む画期的な共同研究

ハイケム東京研究所 青島敬之所長

記者会見ではまず、ハイケム東京研究所の青島敬之所長より「ハイケム北大R&Dラボ」設立の背景について説明を行いました。今回の共同開発における画期的な点について、青島所長は「バイオマスからポリマーを作る研究は国内外で進められているが、これまでの課題は、原料の調達から用途開発まで一本の線に繋がっていなかったこと。今回のコラボは、商社と大学のコラボであり、目的は商品の社会実装を早期化させること」と強調しました。

社会実装に向けた研究を進めていく上で、ハイケムが非石油由来でペットボトルの原料であるエチレングリコールを社会実装してきた事例や、2021年から進めるPLA(ポリ乳酸)の繊維化の事例など、実用化の実績をあげました。また、北海道大学については、日本のトップを走る触媒の技術力を誇る数少ない触媒の専門組織であることや、北海道という土地柄バイオマスの活用に積極的に研究を進めている点をあげ、「ハイケムが持つ実用化の実績とそこで培ってきたネットワークを活かし、北海道大学の触媒の技術力、触媒研究所という組織のチカラのシナジー効果を発揮させ、バイオマスから作るペットボトルや繊維の商品化を早期に達成していきたい」と改めてその意義を強調しました。

北海道大学 触媒科学研究所 清水研一所長

「触媒分野で大学発の実用化技術は本当に珍しい。今回の中島教授のバイオマスを使ったペットボトルの原料を製造する画期的な技術開発が、北海道大学発のシーズになるかもしれないと期待している。」

ハイケム(株) 高裕一取締役

「触媒研究について歴史を持つ北海道大学と提携できたこと嬉しく思う。アカデミアや産業に携わるものとして共に、地球のカーボンニュートラルを達成していくための社会実装に挑んでいきたい」

「ハイケムの環境分野技術の実用化と普及の実績について」
ニーズをとらえた競争力のある原料の調達や市場開拓がカギ


ハイケムの高裕一取締役のプレゼンテーションでは、ハイケムがこれまで実践してきた環境分野における実用化と普及の実績について披露しました。

プレゼンテーションでは、ハイケムが非石油由来でエチレングリコールを製造する技術の普及実績について、「ペットボトルなどの原料となっているエチレングリコールについて、以前はナフサをクラッキングして製造するエチレン法が主流だったが、ハイケムがUBE(株)の技術をベースにして確立したSEG®法を用いた技術を開発した。ハイケムはこの技術について、1,000万トン/年のライセンスを実施し、現在中国を中心に600万トン/年の商業運転を実施している。我々の技術に関しては、エチレン法に比べてもコスト優位性を確保できている。」と述べました。

また、CO2から繊維を製造する技術開発に取り組んでいることについて「ハイケムは、2030年までにポリエステルを商業ベースで製造できる会社になるという大きなビジョンを掲げている。その中で、NEDOの事業としてCO2からパラキシレンを製造する技術開発に従事すると同時にCO2からエチレングリコールを製造する技術開発を行い、現在は商業化に取り組んでいるところだ。」と述べました。

さらに、社会実装の取り組みについて「実際の市場のニーズをとらえ競争力のある原料の調達や市場開拓を行う必要がある」と述べ、「北海道大学の素晴らしい研究成果の社会実装について一緒に並走していきたい」と述べました。

北海道が新たな工業の担い手に!
バイオマスを原料とした持続可能な化学品の原料を作る技術開発

北海道大学 触媒科学研究所 中島清隆教授

北海道大学 触媒科学研究所の中島清隆教授は、「植物資源から石油化学品を開発する技術開発」と題してプレゼンテーションを行いました。従来の化学品について「石油から化学品を作るというプロセスがこれまで石油化学を中心として発展してきたが、結果としてCO2が増加し石油が枯渇していくという問題が発生してしまった」と述べ、「原料の石油をバイオマスに置き換えることで、廃棄の際に発生するCO2を植物が濃縮し化学品の原料として利用可能となり、これまでにない循環型の社会が構築できるようになる」と述べました。

また、石油由来のペットボトルの代替として注目する樹脂として「PEF(ポリエチレンフラノエート)」をあげ「ペットボトルの10倍にもなる高いガスバリア性が特長の樹脂で、汎用性という意味では繊維などにも展開できる画期的な樹脂」であると説明しました。また、ペットボトルが年間8,000万トン程製造されていることを触れ、「この量のペットボトルの代替として普及させるためには、まずは非可食のバイオマスからグルコースを作り、その原料からPEFをいかにして作り社会実装していくかというプロセスが重要で、これをハイケムと北大のコラボレーションで達成していきたい。」と共同研究に向けた意気込みを語りました。

さらに、本研究の北海道への貢献として「石油化学の時代とは異なり、バイオマス化学品が主流になれば、北海道のような農業圏が新たな工業の担い手として発展する可能性がある」と述べ、「本研究の大きなビジョンの一つである」と述べました。

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