世界的に見てもの厳格な品質管理体制を持ち、「食の安心・安全」に高い基準を設ける日本の食品市場。その中でハイケムは、中国と日本をつなぐ架け橋として15年以上にわたり実績を積み重ねています。
今回の記事では、事業立ち上げ当初から食品添加物事業をけん引してきたキーパーソン2名にインタビュー。ハイケムがどのように中国の食品素材を日本市場へ導入し、お客様からの信頼を築いてきたのか、その取り組みについて伺いました。
さらに、2023年から新たに注力している健康食品素材事業についても、中国市場の最新動向とあわせてご紹介します。
食品素材におけるハイケムの強み
ー 食品素材を取り扱う商社は多くありますが、ハイケムならではの強みは何だと思いますか?
(金副部長)日本の食の安心・安全に対する品質管理は、世界的にも非常に高い水準にあります。選ばれる商社になるためには、日本市場が求める品質基準を満たした製品を中国から調達できるかどうかが、重要な条件になります。
この点において、ハイケムには大きく二つの強みがあると考えています。
中国における食品メーカーとの幅広いネットワーク
(金副部長)まず一つ目は、中国における食品メーカーとの幅広いネットワークです。ハイケムではこれまでに200社を超える中国の食品メーカーと接触してきました。その中から、品質の高い製品を取り扱うメーカーを厳選し、国内で常時40種類ほどの食品添加物を在庫しています。
メーカーの選定に際しては、ハイケムの社員が直接工場を視察し、日本の品質基準に適合した製品を製造できるかどうかを確認しています。
食品においては、日本では輸入者が製品に対して責任を負うことになります。そのため、東京本社から人員を派遣するなど、徹底した査察を行うようにしています。
ー 中国製品を安心して日本で利用してもらうために気を付けていることはありますか?
(北山さん)10年前と比べると、中国メーカーの品質管理レベルは大きく向上しました。以前はお客様と一緒に工場を訪問し、改善提案を行うことも多くありました。
現在では、中国メーカーの品質管理体制も非常に進化しています。日本のお客様を工場にお連れすると、設備や管理体制の整った様子に驚かれることもあります。
(金副部長)日本の法規制をクリアすれば輸入自体は可能ですが、実際に日本のメーカーに採用していただけるかどうかは別の話です。各社が定める厳格な基準をクリアする必要があります。
そのためには多くの書類対応が必要です。また、採用基準には異物、色、臭い、包材など、細かなチェック項目があります。これらをすべて日本側で確認したうえで、お客様に納品しています。
中国全土をカバーする拠点網でスピーディかつスムーズなサポート力
(金副部長)もう一つの強みは、中国現地での対応力です。食品分野では、どれだけ品質管理を徹底していても、トラブルの可能性を完全にゼロにすることはできません。そのため、何かあったときの迅速かつスムーズな対応力でいうと、ハイケムは群を抜いています。
ハイケムは中国全土に20拠点を展開しており、このネットワークは当社の大きな強みの一つです。
食品関連では、食品メーカーが多く集まる山東省に近い天津支店に専任スタッフを配置しています。また、上海や重慶などの主要拠点にも食品担当者が在籍しており、中国全土で約10名のスタッフが食品関連業務を担当しています。各地域の食品メーカーとの窓口として、日々情報収集や品質確認、顧客対応を行っています。
こうした現地体制があることで、メーカーとの密なコミュニケーションや迅速な対応が可能となり、お客様に安心してお取引いただける環境づくりにつながっていると感じています。
食品・健康素材課 金副部長
ーこれまでハイケムでは食品添加物を中心に事業を展開してきましたが、健康食品素材分野に注力するようになった背景を教えてください。
(金副部長)ハイケムは2009年に食品添加物課としてスタートし、ビタミンCを中心に日本市場を開拓してきました。事業立ち上げ当初は展示会への出展などを通じて認知度向上に取り組み、取扱い製品の幅も徐々に拡大していきました。現在では安定的な収益を生み出す事業へと成長しています。
一方で、食品添加物は成熟市場でもあり、価格競争の影響を受けやすい側面があります。そこでハイケムでは、より付加価値の高い素材へと事業領域を広げていきました。
その一環として、2020年頃からは高齢者の誤嚥対策として使用されるとろみ材向けの増粘剤をはじめ、ゼラチンやコラーゲンなどの機能性素材へと製品の幅を広げてきました。そして、2023年に新しい中期経営計画がスタートしたタイミングで、部署名を「食品・健康素材課」に改め、新たに健康食品素材への注力を明確に打ち出しました。
「未病」や健康寿命への関心が世界的に高まっていて、病気になってから治療するのではなく、日頃から健康維持に取り組む考え方が広がる中で、健康食品市場も大きく成長しています。こうした市場環境を背景に、ハイケムでも健康食品素材分野への取り組みを本格化させたのです。現在では、食品添加物の売上が約7割を占め、健康食品素材などの高付加価値製品約3割を占めています。
ハイケムが注目する次世代健康食品素材
健康・食品素材課 北山さん
ーハイケムが注力する健康食品素材について教えてください
(北山さん)健康食品素材はここ数年いくつか開拓してきましたが、最近注目している製品は以下の二つの製品です。
リポソーム化ターメリック抽出粉末
(北山さん) 特に注目しているのが、吸収性向上を活用したクルクミン素材で、リポソーム化したターメリック抽出粉末です。
この製品は、台湾の食品素材メーカーMCB社(Ming Chyi Biotechnology Ltd)が開発・製造しており、ハイケムは日本国内における独占販売権を有しています。MCB社は30年以上にわたり粉末化技術の研究開発に取り組んできた企業で、世界各国で健康食品素材を展開しています。
製品の特長
ウコン(ターメリック)の主要成分であるクルクミンは、健康食品素材として世界的に注目されている成分です。一方で、水に溶けにくく、体内への吸収性に課題があることが知られています。
MCB社の製品は、このクルクミンをリポソーム化することで、吸収性の向上を図っています。
リポソーム化とは、素材の吸収性向上などを目的とした製剤技術です。MCB社独自の技術により、クルクミンを30%以上含有しながら、冷水への優れた分散性も実現しています。
また、同社の試験データによると、本製品は一般的なクルクミン粉末と比較して高い吸収性を示しており、体内吸収率は112倍に達したと報告されています(MCB社試験データによる)。
さらに、吸収性の向上だけでなく、加工設備や製造ラインへの着色が起こりにくいことも特長の一つです。そのため、製品開発や製造工程においても扱いやすい素材となっています。
N-アセチルグルコサミン
(北山さん)現在、特に注力している素材の一つが「N-アセチルグルコサミン」です。ヒアルロン酸の構成成分となる天然型のアミノ糖です。
従来、日本ではエビやカニ由来の原料から製造されたものが主流でした。しかし、製造工程が複雑であることに加え、甲殻類アレルギーを持つ方が摂取しにくいという課題もありました。
一方、ハイケムが取り扱う中国製のN-アセチルグルコサミンは、トウモロコシを原料とした発酵法によって製造されている点が特長です。
ー 健康食品素材を取り扱う上での難しい点はどこにありますか?
(北山さん)日本の健康食品市場では、機能性表示食品が大きな存在感を持っています。そのため、市場開拓を進める上では、機能性表示食品への対応が重要なポイントになります。
先ほどご紹介したN-アセチルグルコサミンも比較的新しい素材であるため、現在、機能性表示食品への対応に向けた準備を進めています。
また、健康食品素材は食品添加物とは異なり、機能性に関するエビデンスや学術データの理解が求められます。素材ごとの特性や研究動向を把握する必要があり、より専門的な知識が必要となります。
特に付加価値の高い素材ほど、求められるデータや評価項目も多くなるため、日々知識をアップデートしながら取り組んでいます。
健康食品素材中国最新事情
ー 中国の最新健康食品素材事情を教えてください
(金副部長)現在、中国では健康食品市場が大きく成長しています。経済発展に伴い人々の生活水準が向上する中で、健康への関心も高まっており、健康食品を日常的に取り入れる人が増えています。
また、中国でも高齢化が進み、健康寿命への関心が高まっています。昔の80代と比べて今の80代は本当に若い。人々が健康食品などをうまく生活に取り入れ、健康維持への意識が高まっていることは喜ばしいことだと思います。
こうした市場環境を背景に、中国では健康食品素材の研究開発が活発化しています。新たな健康食品素材が次々と生まれており、日本にとっても興味深い素材が数多く存在しています。
一方で、日本市場への中国健康食材の導入には課題もあります。日本では食品に関する法規制や安全性評価が厳格に運用されており、新しい健康食品素材を展開するためには、十分なエビデンスや各種データの整備が求められます。そのため、すぐに日本市場へ展開できるわけではありませんが、今後評価や制度整備が進むことで、日本でも活用が期待できる素材は数多くあると感じています。
ー なるほど。今後の展開が楽しみですね。
(金副部長)中国では、食品添加物市場に興味深い変化が見られています。
従来、中国では外食や家庭での調理文化が根強く、加工食品の利用比率は日本ほど高くありませんでした。しかし近年は、コンビニエンスストアや冷凍食品、調理済み食品などの利用が広がり、加工食品市場そのものが大きく成長しています。
こうした変化に伴い、食品添加物の需要も拡大しています。日本で過去に起きた食生活の変化と似た流れが、中国でも進んでいるのかもしれません。
私の見解では、今後も中国国内における食品添加物市場は、引き続き成長していくのではないかと考えています。
中国と日本をつなぐ食の信頼ネットワークとして
ー 日中の「食」の懸け橋として今後どのような事に注力していきたいですか?
(金副部長)食品添加物事業は私たちの基盤事業です。これまで築いてきた、お客様、メーカー、中国支店のスタッフとの「食の信頼ネットワーク」の基本がここにあるからです。
この信頼関係をベースに、中国と日本、更には世界とのギャップを見つけ出し、新たな事業にチャレンジしていきたいと思っています。やはり食に携わるものとして「安心・安全」を第一に、日本市場、中国市場、さらにはグローバル市場にもチャレンジしていきたいですね。
健康・食品素材課の取り扱い製品群
健康食品
ビタミン類
主に中国がメイン産地であり、ハイケムでは長年取り扱いをしている製品です。日本市場では1万トンを超える市場があり数多くのユーザー様にご愛用いただいています。
白~帯黄白色の結晶性の粉末、粒又は細粒で、においがなく、わずかに塩味がある。
食品添加物であるVB1(チアミン塩酸塩)をメインに販売を行っております
食品添加物であるVB2(リボフラビン)の販売を行っております
甘味料
アミノ酸の「アスパラギン酸」と「フェニルアラニン」を結合させた人口甘味料。砂糖の約200倍の甘さで低カロリーのため食品や飲料に広く利用されている。
アセスルファムkは砂糖の200倍の甘さを持つ甘味料。
自然界に存在する糖アルコールの一種で、果物や醤油などに含まれる天然甘味料。砂糖の約70%の甘みがありながら、カロリーはほぼゼロ。虫歯の原因にもならず、血糖値も上げにくい特徴がある。
スクラロースは砂糖の約600倍の甘さを持つ甘味料
調味料
昆布のうま味成分を有するうま味調味料
20種類のアミノ酸の1種である「グリシン」は、サプリメントなどの医薬品だけはなく化粧品や食品添加物としても使用される成分です。また、グリシンには睡眠の質を改善する効果があると言われています
鰹節のうま味成分を有するイノシン酸ナトリウム(IMP)と干し椎茸のうま味成分を有するグアニル酸ナトリウム(GMP)の混合物でL-グルタミン酸ナトリウム(MSG)との併用でうま味の相乗効果を引き出す
増粘多糖類
海藻(紅藻類)から抽出される天然多糖類。高温時に比べ低温時に粘度が高くなる。
天然発酵によって作られる多糖類バイオガムの一つ。食品のドレッシング、ソースのとろみ付けに利用。片栗粉の代用として用いられ、耐熱性が高く、冷凍食品にも耐性がある。
発酵によって得られる天然の多糖類。ゲル化剤、増粘剤、安定剤として食品に利用される。
動物の皮や骨、腱などのコラーゲンを加水分解して得られるタンパク質。