中国ビジネスマナー 2023年06月22日

中国の宴会で守るべきマナー5箇条 
中国ビジネスマナー講座 #1 宴会・接待編

近くて遠い国中国。誰も教えてくれないけど、中国では一歩間違えたら大変なことになるビジネスマナーがたくさんあります。ハイケムでは日本と中国の文化、ビジネスマナーを熟知した営業マンが多数在籍しています!ハイケムのオウンドメディア、We are the BRIDGEでは、そんなハイケムの営業マンが、中国に出張に行くなら知っておきたい、最新のリアルな中国式ビジネスマナーを伝授します!

第一回目となる今回は「宴会・接待編」。日本と中国で年間100回以上の接待をこなす営業マン2名に協力いただき、中国での宴会、特に接待の際に守るべき5箇条をご紹介します!

本日の話を伺った人

C1ケミカル事業部 ハス部長
2011年にハイケム入社。
入社当初から、現在のC1ケミカル事業部の前身である企画開発部に所属、中国企業との合弁案件、技術ライセンス案件に携わる。

C1ケミカル事業部 水素エネルギー課 呉課長
2018年にハイケム入社。
年の半分を費やす中国への出張時には、ほぼ毎日、中国の国有企業や大企業との商談や宴会をこなしている。

第一箇条
中国での夜の宴会は単なる食事会でなはい
大事な「商談の場」と捉えるべし


──日本だとわりと会議室の商談の後の宴会は飲み会的な位置づけとなることが多いと思うのですが、中国では違うのですか?

 そうですね。日本だと会議自体が延長されるか、一旦中断してから宴会に移ることが一般的ですよね。中国では、会議が途中であっても、18時になったら「宴会場にいって食べながら話しましょう」ということがよくあります。

また、こちらから中国へ出張する場合、商談の相手のスケジュールは制約されていることもあって、食事のテーブルも重要な仕事の一環となります。決裁者が参加する宴会であれば、「決めてもらうことは決めてもらう場にする」必要があると考えています。


ハス また宴会は大切な商談相手との信頼関係を構築する重要な場になります。宴会で信頼関係を構築できれば、次のビジネスに繋げられるチャンスも広がります。中国出張時の商談後の宴会は、単なる食事会と理解したらよくない。『重要な商談の場』と捉えるべきですね。

第二箇条
中国での宴会は徹底的に「準備」すべし


ハス 中国の宴会、接待において最も重要なことは前段階での下準備が何より重要です。まず、社長などの商談のキーパーソンが中国への出張が決まった段階から準備を開始します。例えば、ハイケムでは中国に在籍する社員が宴会の2~3週間前から相手企業の実務担当者とコミュニケーションを開始することになります。

宴会には誰が出席するのか、相手方のキーパーソンは誰なのか、また、その人は将来的にどのような役職に就く可能性があるのかなど、詳細な情報を入手しますね。さらに、宴会には何人ぐらい参加するのか、その宴会が開催されるのは本会議の後なのか前なのかなどの情報も重要です。


 そうですね。参加する一番のキーパーソンはどういう話が好きなのか。日本の習慣とか歴史に興味がある方であれば、そのような話題に詳しい人を宴会にアサインしたほうが良いでしょうし、相手方に技術に詳しい人が参加するのであれば、その人と話せるくらいのレベルの技術者も同行したほうが良いです。

ハス 宴会の場合は通訳の役割も重要です。ただ、グーグル翻訳のような機械的な通訳では宴会では話になりません。盛り上がる場面に合わせて通訳したり、直訳しないほうが良いところは表現を和らげてみたり。本当に細かいところまで気を使って準備したほうが無難です。

第三箇条
中国での宴会はベストメンバーで挑むべし


ハス そうですね。一回の宴会には、我々が招待する顧客を含めて通常4~5人で出席することになるのですが、宴会にはまさに我々が誇る、ベストメンバーで臨みます(笑)。中国支店のメンバーが事前に調査してくれた情報を元に、相手が好む話題に精通している人、技術に詳しい人、宴会の通訳が上手な人を厳選します。また、中国の宴会では白酒やワインなどの強いお酒が振る舞われることが一般的ですので、お酒が強い人をアサインすることも必要です。

 こちら側のメンバーにお酒が強い人がいるのはもちろんなのですが、「相手に楽しくお酒を飲ませる技術を持っている人」がいるといいですね。皆が楽しく飲めるような発言をしたり、そういう雰囲気を醸成できる人は中国の宴会では非常に重宝されます。また、宴会芸ができる方も歓迎されます。例えばハス部長はある宴会で中国の民族歌を歌って、その時はとても盛り上がりました。

ハス 中国の宴会は円卓で行われることが多いのですが、日本のように個々のグループに分かれてお酒を楽しむのではなく、宴会の参加者全員で乾杯をしたり、同じ話題で盛り上がったりするので、そういう人がいると場が盛り上がるんですよね。

第四箇条
「お酒は飲んでも飲まれるな」
知っておくべき中国式お酒のマナー


──中国は日本ほど酔っ払いに寛容な国ではないとよく言われているようですが、お二人はどう思いますか?

 まぁ、一概にそうともいいきれないかもしれません。中国でもお酒の場では上下関係などは少し緩和されてリラックスした雰囲気になります。

ハス そうですね。ただ、相手が年長者の場合などは乾杯の時は必ずグラスを相手より低い位置で合わせるなど気を付けるべきビジネスマナーはあると思います。なんでもそうだと思いますが、宴会の場合も守らなければいけない基本は相手を立てて、相手に敬意を払うことだと思っています。

──中国での宴会では「お酒は一人で勝手に飲まずに相手を誘って乾杯してから飲む」というのは本当ですか?これはけっこう知らない日本人が多いと思います。

ハス そうですね。日本では宴会なんかでも自分のペースでお酒を飲むことが多いと思うのですが、中国では「乾杯」が基本です。

 白酒とか紹興酒、ワインとかの強いお酒だけでなく、ビールでも一人で飲んでいる人はあまりいないかもしれません。感覚的に、「せっかく皆で飲むこのような場があるんだから皆で楽しく飲もうよ!」という感じです。

──中国の宴会って乾杯がずっと続くイメージがあるのですが、途中で飲めなくなったからごめんなさいっていうのもありですか?

ハス それは全然ありです。わざわざアナウンスしなくても大丈夫。

 多くの場合、宴会の始まりに招待者側が乾杯の挨拶をするのですが、最初の乾杯は歓迎の意を込めて、2回目は商談の内容について、3回目は宴会を楽しみましょう!みたいな。この3杯くらいついていければあとは無理についていかなくても大丈夫です。

──お酒を飲めない人はソフトドリンクで乾杯しても大丈夫ですか?

 昔はあまりよく思われてない時代もあったようなのですが、今はだんだんオッケーになってきているようです。

第五箇条
最大のテーマは「おもてなし」
料理はちょっと残るくらいの量をオーダーすべし


──中国では余るほどの料理をゲストに提供するのがおもてなしと考えられていると聞いたのですが本当ですか?

 そうですね。宴会が終わったときにゲストがまだおなかが空いている状態だとちゃんとしたおもてなしにはならないですよね。ただ、最近はあんまりたくさん注文してあまりすぎてもよくないような風潮もあります。ちょっと残るぐらいのちょうどよい量が最近ではベストかなと思います。

──料理の品数は偶数が縁起が良いとあったのですが、これはどうですか?

ハス 確かに、中国でも北の方ではそういう風習が残っているかもしれませんね。

 うーん、私の勉強不足かもしれませんが、今の感覚としてはあまり気にしないかもしれません。

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