コラム 2022年09月27日

カーボンリサイクルってなんですか?

パリ協定では、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べ2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える」ことができる水準を目指しています。そして今、世界で叫ばれているのが「カーボンニュートラル」の実現です。カーボンニュートラル実現のための手段は、電源構成の見直しや運輸手段の変革など様々な手段が議論されていますが、本日のレポートでは新たな技術革新が必要となり、有力な成長機会、投資機会を生み出し得るカーボンリサイクルについて見ていきたいと思います!

カーボンリサイクルとは?

カーボンリサイクルとはCO2を化学品や燃料、鉱物の原料としてリサイクルしていこうとする動きです。この動きは、CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)の一つとして注目されていて、製造できる物質が多岐にわたることから多くの企業が注目し、研究開発を進めています。そして、ハイケムの事業もこのカーボンリサイクルの技術革新に大きく関わっています!


出典:資源エネルギー庁「カーボンリサイクル技術ロードマップ(2021年7月改訂版)」



CCUSとは?
二酸化炭素の回収・有効利用・貯留(Carbon dioxide Capture, Utilization or Storage)の略語で、火力発電 所や工場などからの排気ガスに含まれるCO2を分離・回収し、資源として作物生産や化学製品の製造に有効利用(CCU)する、または地下の安定した地層の中に貯留する技術(CCS)です。(環境省パンフレットより)

また、CCUには、カーボンリサイクル以外には既に実用化されている、CO2を直接利用する方法や原油増進回収(EOR)の技術もあります。

生協のドライアイスもCCU!CO2の直接利用

CO2の直接利用のカテゴリで、日本で市場に出回っているのは飲料用、冷却用、溶接用途で、年間100万トン程度が利用されています。中でも、私たちになじみ深いのは生協などの宅配向けに利用されている、冷却用途で使われるドライアイスでしょうか。ドライアイスや飲料用以外だと工業用途が多く、一番用途として大きいのは、自動車産業、鉄骨・橋梁や造船の溶接用途です。それ以外では、植物工場でCO2濃度を上げてトマトやレタスの成長を促進させる用途などに使われたりもしています。

アメリカで既に実用化!EOR(原油増進回収)によるCO2の有効利用

アメリカではCO2は炭酸ガスとして既に約9000万トン/年ほどの市場規模があるようで、その約9割がEOR(石油増進回収)用として利用されています。

Made from CO2 カーボンリサイクルとは?


出典:資源エネルギー庁「カーボンリサイクル技術ロードマップ(2021年7月改訂版)」

CO2から燃料

世界の一次エネルギーの流れを見てみると石油、石炭、天然ガスだけで87%を供給していて、その97%がエネルギーとして消費されています。すなわち、カーボンニュートラルな社会を実現するためには、エネルギー起源のCO2はエネルギーとして再利用する必要があるということになります。今、このCO2から燃料の流れで注目されているのが、メタンです。排出されたCO2やCOに水素を加えることでメタンを合成することができ、この反応はメタネーションとも言われています。このメタンは、既存のインフラが活用できることから天然ガスの代替としても注目されています。また、欧州などでは、CO2を回収し再生可能エネルギーを利用してメタノールを合成し、化石燃料の代わりに混合ガソリンとして利用していこうとする動きもあります。

CO2をコンクリートに閉じ込める!?

CO2をカルシウム、マグネシウム、鉄などの金属酸化物と化学的に反応させて炭酸塩を形成し、金属炭酸塩としてCO2を固定する方法があります。これはミネラリゼーションとも呼ばれ、自然界でも見られる現象です。サンゴや二枚貝などは主に炭酸カルシウムを利用してCO2を吸収・固定しながら多種多様な鉱物を作りだしている生物です。この原理を人工的にもコンクリートなどに応用しています。鹿島建設株式会社やデンカ株式会社などは、コンクリートを製造する際に発生するCO2排出量を上回るCO2を吸収しながら硬化するコンクリートを開発、実用化しています。

CO2から洋服!? ハイケムも参画するCO2からパラキシレンの技術開発

 


ハイケムでは、2020年より富山大学、日本製鉄など日本の大手企業や大学と共同でNEDO※の事業としてCO2を原料とするパラキシレン製造の技術開発に取り組んでいます。パラキシレンは、酸化させることで高純度テレフタル酸(PTA)となる基礎化学品です。また、ハイケムでは保有するSEG®技術をベースにCO2由来のエチレングリコールの開発にも取り組んでいます。これらのCO2由来のテレフタル酸とエチレングリコールを反応させることで、ポリエステル繊維やペットボトルの原料として利用することができるPET(ポリエチレンテレフタラート)を得ることができます。従ってハイケムでは、これらの技術開発に取り組むことで、CO2を原料としたポリエステル繊維を開発し、CO2から洋服を製造する技術開発に繋げることができると考えています。
(※) NEDO:日本の国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構


参考文献
・資源エネルギー庁「カーボンリサイクル技術ロードマップ(2021年7月改訂版)」
・図解でわかるカーボンリサイクル 著:一般財団法人 エネルギー総合工学研究所
・いちばんやさしい脱炭素社会の教本 著:藤本峰雄 松田有希 丸太明輝
・ハイケム プレスリリース「CO2を原料とするパラキシレン製造に関する開発に着手

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