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海洋生分解性樹脂PHAを活用した化粧品用マイクロビーズ代替素材の共同開発に関する戦略的提携基本契約締結について
~2035年のEU規制強化に対応し、マイクロプラスチック問題の解決を目指す~

グローバルに事業を展開する化学品商社兼メーカーのハイケム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:高潮、以下「当社」)は、清華大学発のPHAメーカー北京微構工場生物技術有限公司(本社:中国北京市、董事長:徐絢明、以下「PhaBuilder」)並びに日興リカ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:石井宏幸、以下「日興リカ」)と、海洋生分解性樹脂PHA(ポリヒドロキシアルカン酸)の化粧品分野における共同開発および市場開拓について戦略的提携基本契約を締結いたしましたので、お知らせいたします。

左から 日興リカ 代表取締役社長 石井宏幸, PHA Builder 董事長 徐絢明, ハイケム株式会社 専務取締役 貿易本部長 林勁松

■背景および目的

近年、化粧品に含まれる微粒子状のマイクロプラスチックビーズによる海洋汚染が環境問題となっています。これらのビーズは排水処理設備では除去できず、海洋に流出した後、プランクトンや魚類に摂取されることで、生態系の食物連鎖に影響を及ぼしています。

こうした状況を受け、欧州では2023年9月にREACH規制が制定され、マイクロプラスチックに対する規制強化が段階的に実施されています。化粧品分野においても、EU域内で販売される化粧品には、マイクロプラスチックの配合が段階的に禁止されており、2035年までにはリップやネイルを含むメイクアップ製品全般へのマイクロプラスチックの配合が全面的に禁止される予定です。

現在、世界では規制対象となるマイクロプラスチックビーズが化粧品に使用されており、REACH規制に準拠した代替製品への切り替えが急務となっております。

本提携は、このような市場環境の変化に対応し、海洋生分解性を有するPHAを活用した革新的な代替素材の開発・量産・市場展開を通じて、マイクロプラスチック問題の解決に貢献することを目的としております。

■PHAの特長について

PHAは微生物由来のバイオマスプラスチックで、微生物の働きにより最終的に水とCO2に分解される生分解性プラスチックです。淡水や土壌に加え海洋でも高い生分解性を発揮し、生体内においても分解するため、マイクロプラスチック問題が生じにくい次世代樹脂として注目されております。

■各社の役割と強み

PhaBuilderについて

PhaBuilder社は清華大学が過去30年以上にわたり蓄積してきた「次世代工業化バイオテクノロジー(NGIB※)」システムを活用し、安価で多様なPHA製品を生産する中国最大のPHAメーカーです。本年、中国の大手酵母メーカー・エンジェルイーストとの合弁会社が湖北省に年産1万トンの世界最大規模のPHA製造プラントを稼働開始し、商業生産を本格化いたしました。今後は年産3万トンまでの規模拡大を計画しており、安定した供給体制と価格競争力を実現いたします。

※NGIB=Next-generation industrial biotechnology

日興リカについて

日興リカは独自の粉体加工技術により、素材の特徴を活かした化粧品向け加工を行っています。同社の粉体技術を生かし、海洋生分解性樹脂PHAの特徴を活かしつつ、従来の生分解性樹脂粉末と比較して大幅に向上した滑らかな感触と、水やオイルへの優れた分散性を実現した「RUSENT POWDER」を開発しています。本製品はベースメイク製品、メイクアップ製品、スキンケア製品など幅広い用途への応用が可能です。

ハイケムについて

ハイケムは2024年7月にPhaBuilderと日本市場における販売代理店契約を締結しております。また、2019年より世界最大のポリ乳酸(PLA)メーカー豊原集団と事業戦略パートナーシップ契約を締結し、生分解性プラスチック市場の開拓に取り組んでまいりました。現在はPLAに加え、海洋分解性樹脂PHBVやP34HBなど合計7種類の生分解性プラスチックの輸入販売体制を構築しております。2021年12月にはPLA素材「HIGHLACT®(ハイラクト®)」を発表し、アパレル向けPLA繊維の開発にも取り組むなど、生分解性樹脂分野における幅広い事業展開を図っております。

 

■今後の展開

本提携により、2026年までに以下の取り組みを推進してまいります:

  • 日興リカの高度な素材開発技術を活用したPHA製マイクロプラスチックビーズ代替製品の開発
  • PhaBuilderの製造技術と量産体制を活用した供給体制の確立
  • 当社のグローバルな市場開拓力によるPHA製品の化粧品用途への展開

これらの取り組みを通じて、化粧品分野におけるマイクロプラスチック問題の解決に貢献し、持続可能な美容業界の発展に寄与してまいります。

■会社概要

北京微構工場生物技術有限公司(PhaBuilder)

  • 本社:中国北京市
  • 董事長:徐絢明
  • 事業内容:PHA樹脂の開発・製造・販売

日興リカ株式会社

  • 本社:東京都千代田区
  • 代表取締役社長:石井宏幸
  • 事業内容:化学工業製品製造販売

ハイケム株式会社

  • 本社:東京都港区
  • 代表取締役社長:高潮
  • 事業内容:化学品の輸入・販売、化学製品の開発・製造

ハイケムは、化学品商社兼メーカーとして、商社部門では医薬や食品、農薬などのライフサイエンス分野から最先端のエレクトロニクス部材まで幅広い製品や技術を取り扱っています。また、メーカー機能を主体としたサステナ部門では、日本と中国に4つの研究所と触媒量産工場を保有。年産1,000万トンのライセンス実績を誇るC1系SEG®技術を基盤にCO2を活用して化学品を製造する脱炭素技術の開発・商業化をはじめ、バイオ化学技術、蓄電池システムの開発にも注力しています。今後もより革新的な製品・技術とサービスを軸に、グローバルに事業を展開してまいります。

【このリリースに関する報道機関からのお問い合わせ】
ハイケム株式会社 広報室 担当:黒岩(090-6539-4213)・陳
TEL:03-5251-8580 E-mail:koho@highchem.co.jp


海洋生分解性を有し、100%植物由来材料、パウダータイプとペレットタイプ両方紹介可能

Cas No. 125495-90-1 / 取り扱い事業部:機能性ポリマー部
主な用途:化粧品、成形品、塗料、フィルム

海洋生分解性を有し、100%植物由来材料、パウダータイプとペレットタイプ両方紹介可能

Cas No. 80181-31-3 / 取り扱い事業部:機能性ポリマー部
主な用途:化粧品、成形品、塗料、飼料添加剤