ニュースリリース

2023年03月10日 プレスリリースC1ケミカル事業

CO2を原料とするパラキシレン製造
パイロットプラントにおいてパラキシレンの製造、単離に成功

ハイケム株式会社(本社:東京都港区 代表取締役社長:高潮(たか うしお)、以下ハイケム)と国立大学法人富山大学(富山県富山市 学長 齋藤滋、以下富山大学)、千代田化工建設株式会社(本社:神奈川県横浜市 代表取締役会長兼社長 榊田雅和、以下千代田化工建設)は、CO2を原料としたパラキシレンの製造、ならびにその単離(※1)に成功しましたことをお知らせいたします。

CO2を原料としたパラキシレンの製造については、NEDO(※2)の「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2排出削減・有効利用実用化技術開発/化学品へのCO2利用技術開発」事業に、富山大学、千代田化工建設、ハイケム、日鉄エンジニアリング株式会社、日本製鉄株式会社、三菱商事株式会社が共同で採択され、本件の共同研究を進めております。

千代田化工建設は子安リサーチパーク内にパイロットプラントを建設、本パイロットプラントにハイケムで富山大学の研究成果を基に製造した工業触媒を充填し、2022年3月より順調に稼働し続け、CO2を原料としてパラキシレンをメインとする化合物を製造してまいりました。また、これまでの稼働期間中に製造した化合物を外部機関に依頼し、従来技術を用いてパラキシレンを単離することに成功いたしました。今後はこのCO2由来パラキシレンの事業化を関係各社と共同して加速してまいります。

火力発電などから排出されるCO2の削減は気候変動対策として重要であり、またCO2を資源として捉えて、回収し、有効利用する「カーボンリサイクル技術」の開発が求められています。経済産業省において2019年6月に策定(2021年7月に改訂)された「カーボンリサイクル技術ロードマップ」では、CO2を素材や燃料へ利用することなどを通して、大気中へのCO2排出を抑制していく方針が示されています。

こうした中、NEDOは、既存の化石燃料由来化学品に代替することを目的とする化学品へのCO2利用技術の開発として、CO2を原料とするパラキシレン(※3)製造に関する世界最先端の技術開発事業への取り組みを支援しています。

千代田化工建設子安リサーチパーク内パイロットプラント

ハイケム工業触媒

初単離されたCO2由来パラキシレン

CO2由来パラキシレンは、従来のパラキシレンと同様に高純度テレフタル酸(PTA)(※4)を経由して各種樹脂原料として使用することが可能です。CO2由来原料から樹脂を製造することは、CO2の排出削減ならびに炭素循環が可能という環境面での利点があります。

また、円滑な事業化とCO2排出削減の可視化、その価値の確実な市場への提供を目的とし、CO2由来パラキシレンを既存パラキシレンのサプライチェーンへ組み込むことが可能であるマスバランスアプローチ(※5)を含めて検討を進めております。

本事業におけるキーワード:気候変動対策、炭素循環、GHG排出削減、CCUS
CO2由来パラキシレンサプライチェーン概念図

※1 単離:混合物の中から特定の一成分を分離すること。
※2 NEDO:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構。
※3 パラキシレン:芳香族炭化水素の一つであるキシレンの異性体。ポリエステル繊維やペットボトル用樹脂をはじめとし、各種樹脂の原料となるテレフタル酸の原料として用いられる。化学式ではC8H10で表される。
※4 高純度テレフタル酸(PTA):芳香族カルボン酸の一つで、PTAはパラキシレンを酸化させることで得られる(化学式はC8H6O4)。PTAとエチレングリコールを反応させることでポリエチレンテレフタラート(PET)が得られるなど、各種樹脂モノマーならびに中間体として重要な基礎化学品である
※5 マスバランスアプローチ:サステイナブル原料の投入割合範囲内で、任意の製品へサステイナブル認証を割り当てる方式。

この件に関するお問い合わせ先

(ハイケム株式会社)広報室 黒岩
電話:03-5251-8580
E-mail:kuroiwa@highchem.co.jp

(国立大学法人富山大学)富山大学総務部総務課 広報・基金室
電話:076-445-6028 FAX:076-445-6063
E-mail:kouhou@u-toyama.ac.jp

(千代田化工建設株式会社)IR・広報・サステナビリティ推進セクション 池尻/津川
E-mail: irpr@chiyodacorp.com
URL:https://www.chiyodacorp.com/jp/contact/index.php