ニュースリリース

2021年02月15日 プレスリリース素材事業

ハイケム中国の生分解性材料メーカーと業務提携
堆肥化可能な農業用マルチフィルムなどを紹介


ハイケム株式会社(本社:東京都港区 社長:高潮(たか うしお)、以下ハイケム)は、中国の素材メーカー江蘇華盛材料科技集团有限公司(本社:中国江蘇省 社長:張春華、以下華盛グループ)の傘下である南通龍達生物新材料科技有限公司と総代理販売契約を締結し、PBAT(ポリブチレンアジペート・テレフタレート)を用いた生分解性コンパウンド樹脂PCO2及びPCO2フィルム成形品の日本での販売を開始します。また、分解性の基準と、環境適合性の審査基準を満たした製品に与えられるグリーンプラマークの取得に向け、当社が申請の手続きを行う予定です。

中国では昨年1月にプラスチック製品による環境汚染防止策の通達が発令され、昨年末までに飲食店での非分解性プラスチック製のストローなどの使用を止めるよう指示が出されるなど生分解性材料のニーズが急速に高まっています。

今般取り扱いを開始するPCO2は優れた生分解性により、土壌での堆肥化が可能で、中国では農業用マルチフィルムやごみ袋などの環境放出型の成形品に多く採用されています。
また、アメリカBPI(Biodegradable Products Institute)などの国際認可マークも取得しており、環境意識が高く、より環境規制が厳しい欧米企業における複数の採用実績を有しています。

PCO2の特徴

1. 優れた生分解性で土壌に堆肥化
PBATのコンパウンド樹脂であるPCO2は優れた生分解性を有しています。このPCO2を用いた農業用マルチフィルムの実験では、約6カ月で土壌への堆肥化が完了しました(土壌の環境により左右します)。

2. ポリエチレンに似た特性で農作物を効果的に保護
● 優れた水蒸気バリア性※
通常、生分解性を有するフィルム成形品はポリエチレン製に比べると水蒸気バリア性が低いのが一般的です。一方、PCO2は高い水蒸気バリア性(ポリエチレンに近い)を実現しており、農業用マルチフィルムなどに用いることで、土壌水分の蒸発を抑える効果も期待でき、土壌温度が緩やかになることで農作物に良好な環境を作り出すことが可能です。

※水蒸気バリア性とは、水蒸気を遮断する特性であり、農業用マルチフィルムや包装フィルムでは重要な特性です。通常は水蒸気透過度(WVTR/JIS:K7129)で評価されています。

● 優れた力学特性
強度などの力学特性が高くポリエチレン製と同様の軽くて薄いフィルムの製造が可能です。また、この優れた特性により高齢化が進む農家において、農業用マルチフィルムの廃棄などに関わる作業負担を減らす効果も期待できます。
 
3. 欧米の有名企業における採用実績
PCO2製のレジ袋、ごみ袋、ショッピングバッグなどのフィルム成形品は、欧米の有名企業にも数多く採用されています。また、高い基準が要求される欧米の国際認可マークも取得しています。
<取得済みの国際認可マーク>
アメリカ:BPI(Biodegradable Products Institute)認可
欧州:EN13423基準認可 など

主な使用用途

1. 農業用マルチフィルム
農業用マルチフィルムとは、作物を育てている畑の畝を覆うフィルムのことで、これを用いることで防虫や地温の確保、土壌の乾燥防止、肥糧などの流出防止など様々な効果を得ることができます。しかし、作物の収穫後にフィルムを回収し廃棄する必要があり、放置すると、土壌中に残り続け土壌の深部まで潜むか、風雨に流され海に流出します。また、廃棄する場合も廃プラとして処分するか焼却する必要がありCO2の発生源となります。農業用マルチフィルムとして生分解性材料を用いることで、作物収穫後のフィルムの回収作業が不要となり、畑にすき込むだけでフィルムは自然と分解され、ごみ処理の労力とコストを大きく削減することができるようになります。中でも当社が取り扱うPCO2製の農業用マルチフィルムは優れた生分解性と従来のマルチフィルムに使われているポリエチレンに似た特性を有しており、従来製品との代替がしやすい製品です。

2. レジ袋・ごみ袋など
中国では昨年1月に、個人のプラスチック製品の利用削減を目標に、原則として2022年までに分解されないプラスチック袋の使用を禁止する方針を明らかにしました。これに伴い、生分解性プラスチック製レジ袋の需要が増加しています。また、日本でも今年1月より京都府亀岡市において非分解性プラスチック提供禁止の条例が施行されており、今後シングルユースプラスチック削減に向けた動きが盛んになってくることが予測されます。


ハイケムでは、生分解性材料こそマイクロプラスチック問題解決の糸口となると考え、PLA(ポリ乳酸)やPBATなどの生分解性材料の取り扱いを強化しています。中国で台頭する生分解性材料サプライヤーと緊密な関係を構築し、日本の材料メーカーとの架け橋となり、生分解性プラスチックの世界的な普及に貢献してまいりたいと考えています。これらの総合的な取り組みにより「生分解性材料のトータル・ソリューション・カンパニー」となり、世界の海洋プラスチック問題の解決に尽力してまいります。

【このリリースに関する報道機関からのお問合せ】
ハイケム株式会社 広報室 担当:黒岩(090-6539-4213)
TEL:03-5251-8580  E-mail:koho@highchem.co.jp