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製品紹介 2024年04月18日

中国メーカーが生産量を10倍にした注目の「カプロラクトンシリーズ」
サステナブル素材からEV充電ケーブルまで


製品名:
・ε-カプロラクトン
・PCLポリオール(ポリカプロラクトン・ポリオール)
・PCL(ポリカプロラクトン)

メーカー名:湖南聚仁化工新材料科技有限公司


お話を伺った人


左:機能化学品1課 戴さん 
カプロラクトン関連製品の新規市場の開拓を主に担当。欧米等のグローバル開拓も視野に積極的に開拓中。

右:化成品2課 李さん 
カプロラクトン関連製品の主に日本市場を担当。塗料や樹脂などの既存ルートにおける販売を取りまとめる。


——ハイケムの取り扱うカプロラクトン製品について教えてください。

 ε-カプロラクトンは化学式の構造がとても簡単な「モノマー」と呼ばれるもので、いろいろな官能基(有機化合物の特性や反応を特長付ける原子団や結合様式)を付与して、さまざまな機能を持たせることができます。

用途は塗料や樹脂用途がメインで、PCLポリオールやPCL(ポリカプロラクトン)は、その誘導体になります。


 ポリウレタンの製造に使用されるポリオールの一種です。

なかでも、PCLポリオールは耐久性が高く、加工しやすい特徴があるので、ポリウレタン樹脂の中でも幅広い需要があります。塗料やコーティング剤、接着剤、ケーブル被膜、フィルムに使われるほか、耐摩耗性や浸水性の高さから、スキーウェアやレインコートにも利用されます。また、その耐久性の高さから、車のコーディング剤やフィルムなどの車載用途としても需要があります。


 PCL(ポリカプロラクトン)は生分解性プラスチックです。欧米などでは、使い捨てのカップやストローに採用されています。

 他の生分解性プラスチックには海洋分解性があるものは少ないのですが、PCL(ポリカプロラクトン)は海洋で分解するのが特長です。

 そうですね。環境意識の高いヨーロッパでの採用が進んでいます。

——供給メーカーの湖南聚仁化工新材料科技有限公司(以下聚仁化工)についても教えてください。

 数年前にε-カプロラクトンの供給メーカーにトラブルがあり、供給がストップしたことがあったんです。その時に中国支店の方が探し出してきたのが聚仁化工でした。当時の同社の製造能力が5,000トン/年程度だったので、中国以外のマーケットへの供給は難しかったのですが、なんと昨年、その生産能力を約10倍となる5.5万トンまで急拡大させました。それに合わせて、ハイケムと聚仁化工は日本国内の販売代理契約を締結しました。


——いきなり10倍の製造能力のプラントを立ち上げるとは、本当にすごいですね。

 これまでのε-カプロラクトンのマーケットがだいたい4万トンくらいでしたので、市場に出回る量が倍増した感じです。また、この増産により、聚仁化工がカプロラクトン関連製品のトッププレイヤーに躍り出ました。

 聚仁化工が生産キャパを拡大した理由は2つほどあります。1つ目は、カプロラクトン関連製品の安定供給を維持するためです。この製品は、製法が非常に難しく危険を伴うため、世界的にプレイヤーが少なく、既存メーカーについても設備の老朽化の問題がありました。一方で今後も一定の需要が見込まれるカプロラクトン関連製品の安定供給を望む声が多くありました。これに対し、聚仁化工は従来に比べ安全性が高い技術を自社で開発したことで、従来の10倍にも及ぶ生産体制を確立しました。


2つ目は、聚仁化工の技術力の高さです。同社は研究所を保有していて、博士号を取得した研究員や技術者が多く在籍しています。これによって、従来の用途に限らない新規用途の開拓を積極的に行っています。これまでのマーケットの2倍の量を供給できるようになったわけですから、単純に考えて、既存の用途だけでは供給過多になってしまいますよね。

 彼らの開拓した新しい用途として、EV用の充電ケーブルがあります。今、中国ではBYDやテスラなどのEV車が急速に普及していて、それに伴い充電インフラの整備も進んでいます。高い圧力下でも安定的に性能が維持でき、経時変化が少なく耐久性の高いPCLポリオールに白羽の矢が立ち、充電ケーブルの部材として採用されたそうです。

それを聞いたとき、私たちも「そんな用途があったんだ!」と本当にびっくりしました。


——昨年、聚仁化工との提携を発表しましたが、ハイケムとしては今後どのような取り組みを行っていきますか?

 日本市場では塗料関係やポリウレタン樹脂関係で、新規の取引先を開拓中です。聚仁化工の強みは、世界シェアに匹敵するほどの圧倒的な生産キャパの高さです。将来的に同社が安定生産体制に移行した際、価格メリットが出せるよう塗料メーカーなどに紹介し、性能評価を行っていただいているところです。


——カプロラクトン関連製品での、グローバル市場の開拓についてはいかがですか?

 そうですね。欧米を中心に市場を開拓していきたいと考えています。

ヨーロッパについては、昨年から当社グループに加わったAIジャパンと連携し、カプロラクトン関連製品の市場開拓を行っています。

また、米国については、米国支店のスタッフと連携しながら新しい需要の掘り起こしを行っています。今年中には米国での展示会の出展も検討しています。

世界的にみて、ポリオールを中心にカプロラクトン関連製品の市場は間違いなく伸びているので、これからもチャンスを獲得していきたいですね。


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