ハイケム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:高潮〈たかうしお〉、以下「ハイケム」)は、高い耐熱性と耐久性を有するポリ乳酸(PLA)「ステレオコンプレックスPLA(SC-PLA)」に関する、製造基礎技術の確立にハイケムの研究所にて成功しましたのでお知らせいたします。
ハイケムは、2022年に素材研究支所を開設し、生分解性材料やバイオ素材の基礎研究を進めてまいりました。また、独自ブランドによるPLA繊維を発表するなど、生分解性材料の社会実装にも積極的に取り組んでいます。このたび、帝人株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長執行役員:内川 哲茂)から譲受した「ステレオコンプレックスPLA(SC-PLA)」の知的財産権に基づく技術の再現に成功したことを受け、量産化に向けたさまざまな可能性を検討し、社会実装に向けた取り組みを加速してまいります。
ステレオコンプレックスPLA(SC-PLA)について
ポリ乳酸(PLA)とは、100%植物由来のバイオプラスチックであり、一定の環境下で水と二酸化炭素に分解される生分解性を有するため、環境汚染の低減が期待できます。一方で、化学構造が単純なため、強度や耐熱性が低いことが課題となっています。
「ステレオコンプレックスPLA(SC-PLA)」は、高純度のL乳酸とD乳酸を原料としたステレオコンプレックス型の特殊な結晶構造を持つPLAです。通常のPLAと比較して、高い耐熱性と耐久性を有するのが特徴で、通常のPLAの融点が約170℃であるのに対し、210℃以上の融点を持ち、より広範囲での使用や高温での加工が可能です。また、加水分解性などを結晶構造や分子量によって制御できるため、耐久性の向上も期待できます。すなわち、SC-PLAは、植物由来のバイオプラスチックでありながら、一般的な汎用プラスチックに近い物性を実現する素材といえます。
ハイケムの素材事業におけるステレオコンプレックスPLA(SC-PLA)の展開
ハイケムでは、長期戦略「All for 1 for All」を掲げ、1兆円企業を目指す取り組みの中で、バイオ素材をはじめとする生分解性材料の開発及び社会実装に注力しています。
その一環として、中国最大のPLAメーカーである安徽豊原集団有限公司(豊原集団)と事業戦略パートナーシップ契約を締結し、2021年にはPLA繊維「HIGHLACT®(ハイラクト®)」を発表、アパレル向けのPLA繊維市場の開拓を積極的に進めてまいりました。また、前述の通り2022年には素材研究支所を設立し、素材分野の基礎研究にも注力しています。
このたび、ステレオコンプレックスPLA(SC-PLA)技術の再現に成功したことにより、量産化へ向けた更なるステップを加速します。また、高温(130℃程度)での染色やアイロンがけが可能なSC-PLAの自社ブランド「ハイラクト®」の展開を本格化することで、より高機能な繊維の環境負荷低減にも貢献してまいります。さらに、繊維分野にとどまらず、フィルムやシート、電気・電子機器、自動車部品、3Dフィラメントなど、耐熱性が求められる各種成形材料への展開も積極的に進めてまいります。
会社概要
- 会社名:ハイケム株式会社(https://highchem.co.jp/)
- 本社所在地:東京都港区虎ノ門1丁目3番1号 東京虎ノ門グローバルスクエア11階
- 設立:1998年4月8日
- 事業概要:貿易事業/ライセンス事業/触媒開発・量産・受託/グリーンケミカル・次世代エネルギー開発
- URL:https://highchem.co.jp/
ハイケムは、化学品商社兼メーカーとして、商社部門では医薬や食品、農薬などのライフサイエンス分野から最先端のエレクトロニクス部材まで幅広い製品や技術を取り扱っています。また、メーカー機能を主体としたサステナ部門では、日本と中国に4つの研究所と触媒量産工場を保有。年産1,000万トンのライセンス実績を誇るC1系SEG®技術を基盤にCO2を活用して化学品を製造する脱炭素技術の開発・商業化をはじめ、バイオ化学技術、蓄電池システムの開発にも注力しています。今後もより革新的な製品・技術とサービスを軸に、グローバルに事業を展開してまいります。
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ハイケム株式会社 広報室 担当:黒岩(090-6539-4213)・陳
TEL:03-5251-8580 E-mail:koho@highchem.co.jp