ニュースリリース

2021年05月17日 プレスリリース貿易事業C1ケミカル事業素材事業

新・ハイケム東京研究所を2021年5月に竣工
延床面積は現在の7倍、更なる研究体制の強化を図る

ハイケム株式会社(本社:東京都港区 代表取締役社長:高潮(たか うしお)、以下ハイケム)は、千葉県柏市に新研究所「ハイケム東京研究所」を2021年5月31日に竣工します。

新研究所では、現在、東葛テクノプラザ及び東大柏ベンチャープラザで行っている当社の研究開発機能を引き継ぐと同時に、延床面積を現在の7倍に拡大し、更なる研究開発体制の強化を図ります。

新研究所の概要

名称:株式会社ハイケム東京研究所
所在地:千葉県柏市柏インター南9の3番地
延床面積:1662.83㎡
構造規模:鉄骨造3階建
竣工日:2021年5月31日

ハイケム東京研究所が主要テーマとして取り扱っているのは、C1ケミカル(CO、CO2などの一つの炭素原子から化学製品を合成するための触媒および製造プロセス)です。当社が2009年から注力するSEG®技術※で用いる触媒二種の性能改善及びコストダウン検討をはじめ、今後工業化が期待できるエタノールや高級アルコールなどのC1ケミカル誘導品を製造するための触媒開発にも取り組んでいます。

また、今般の東京研究所の機能強化により

1. CO2を原料とする化学品製造についての研究開発の強化
2. 生分解性材料における応用研究
3. 自社製品「ニューセラミックスバインダー セランダー®」の製造と品質管理

などの新たな機能を追加します。

※SEG®技術:合成ガスを原料とし、非石油由来でエチレングリコール(ポリエステル製造原料の一種)を製造する技術のことです。この技術は、宇部興産株式会社が保有する技術をベースにしており、宇部興産がDMO技術を当社にライセンスし、当社が中国企業にDMOを含めたSEG®技術をライセンスするという形で、ライセンスビジネスを展開しています。

CO2を原料とする化学品製造についての研究開発の強化

①バイオマス原料やCO2からのグリーンエチレングリコールの製造
SEG®技術※は、原料に石炭、天然ガス、産業排気ガスなどの幅広い炭素源を原料として利用することができます。そのため、各種廃ガスを有効利用し、CO2削減効果が見込めるエコな技術として注目を集めています。また、この技術を応用することで、バイオマス原料やCO2を原料とするグリーンなエチレングリコールの製造についても、現在商業化に向けて開発を行っております。

②CO2を原料としたパラキシレン製造に関する触媒開発及び触媒のスケールアップ研究
この研究は、当社が国立大学法人富山大学、千代田化工建設株式会社、日鉄エンジニアリング株式会社、日本製鉄株式会社、三菱商事株式会社と共同で研究開発を行っており、2020年7月にNEDOの「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2排出削減・有効利用実用化技術開発/化学品へのCO2利用技術開発」に応募し、採択されました。これに伴い、新しい研究所において、触媒開発と実用化に向けた量産化の研究開発を行います。

この二つの技術が完成すれば、ポリエステル繊維をCO2のみから製造することが可能となり、よりグリーンな新素材を求めるアパレル業界に対し、高付加価値でCO2フリーな繊維を供給できるようになり、日中の温室効果ガスの大幅な削減に繋がります。

生分解性材料における応用研究

ハイケムでは、2020年8月に中国最大のPLA(ポリ乳酸)メーカーと事業戦略パートナーシップ契約を締結するなど、中国からの各種生分解性材料の取り扱いを強化しています。生分解性材料は微生物の働きで水とCO2に最終的に分解されるという特質があるためエコフレンドリーな素材ですが、耐熱性などの機能性に課題を残しています。そこで、生分解性材料の合成、改質および応用研究を行い、生分解性材料の高機能化を図っています。

自社製品「ニューセラミックスバインダー セランダー®」の製造と品質管理

ハイケムは2020年1月に「ニューセラミックスバインダー事業」を事業譲受しました。これに伴い、自社製品として「セランダー®」の製造販売を行っています。ニューセラミックスバインダーは、自動車関連材料やスマートフォンなどの材料に使われています。また、5G市場が本格的に立ち上がる中、その部材としても注目を集めており、中国市場への展開を加速しています。新しい研究所では2022年から製造を開始すると共に、セラミックスバインダ―開発研究室も設け、国内外の旺盛な新規需要にも対応していく予定です。

日中におけるハイケムの研究開発体制

ハイケムは日中に3つの研究所を所有し、約50名の研究員が在籍しています。東京研究所では大学の研究室や企業の研究開発機関などと長期的な協力関係を構築し、質の高い基礎研究を行っています。また、触媒工場がある南通研究所では工業段階に近いパイロットやスケールアップを、上海研究所ではプロセス設計、エンジニアリングなどの工業化が可能な機能を備えています。すなわち当社には基礎研究から実機レベルの技術検証まで可能な機能が整っており、オールハイケムで産業化を実現することが可能です。

中国の研究所

南通研究所

研究開発スタッフ26名。研究開発及び実験チームとして、触媒工場の生産経験を活かし、東京研究所と協力してパイロット・スケールアップを行っています。また、触媒の性能評価、触媒用途開発、プロセス技術改良への協力、有機合成なども担当しています。

所在地:江蘇省南通市経済技術開発区通順路6号

上海研究所

研究開発スタッフ7名。プロセス設計、エンジニアリング、生産設備立上、プロセス技術改良など、工業化の重要な部分を担当しています。

所在地:上海市浦東新区康橋路787号中天科技園6号楼231室

【このリリースに関する報道機関からのお問合せ】
ハイケム株式会社 広報室 担当:黒岩(090-6539-4213)
TEL:03-5251-8580  E-mail:koho@highchem.co.jp