第3回「Growth Bridge」ハイケムの未来と次世代への挑戦
後編となる今回は、第二部「ハイケムのこれからを知る・トップ同士の対談」の様子をお届けします。
社長と副社長の対談では、1兆円達成に向けた課題や、商社・メーカー双方の機能を持つハイケムならではの競争力、さらにAI時代の人材育成やグローバル戦略について、率直な考えが語られました。ぜひご一読ください。
1兆円達成のボトルネックは?
(社長)何が「ボトルネック」なのかということでいうと、ハイケムは良くも悪くも、「個人商店」のようなスタイルで成長してきました。すごくやる気のある人たちが、どんどんチャンスを掴んで一つ一つのビジネスを形にしていくことで成長してきたんです。ですから、成り立ちがとても商社的というか、目の前の利益をいかに掴みにいくかっていうところにすごく注力してきた。そしてその成長の途中でメーカーの機能が加わり、新たな価値を提供できるようになりました。
ですから、今のハイケムは、両方をやり続けないと社会に対して価値を提供し続けられないのではないかと僕は思っています。
ただ、「メーカー」と「商社」ってやっぱりものの考え方が全然違うんですね。 そして、ものの考え方が違うことについて、お互いにもっと理解し合わないといけない点があるなということが、最近僕が感じていることです。
(副社長)僕は「ボトルネック」という考え方はしないです。何がネックで達成できないというよりも、どうやったら達成できるかを考え、今足りないことを改善して、新しく取り組んでいく。
1兆円の目標に対して僕が思うのは、 まずはしっかりと利益を出せる事業をいくつか作っていくこと。そしてそこから出た利益をさらに投資してそれを拡大していく。それしかないかなと思いますね。
商社としての競争優位性と差別化戦略
(副社長)4〜5年前くらいから、情報化社会が進展することで、今後商社はいらなくなるだろうというようなことはよくいわれるようになってきました。ただ実際にはこの4年間を見てみても、我々の粗利は全く落ちていないし、むしろ昔よりも増えています。
我々が深く考えていかなければいけないのは、「お客様がなぜこのようなマージンを認めてくれているのか」ということです。
私が考えるその一つの大きな理由は、「お客様が私たちを必要としてくれているから」に他なりません。 なぜ必要とされているのか、それはお客様の問題や課題を解決しているからですね。商社としての情報提供力、顧客目線に立った提案力、物流問題が出た時の迅速な行動力も、いろんなものを含めて、お客様は我々に価値を感じている。
昨今のように、国際的に貿易が分断していく中で、今後しばらくは我々の存在価値を十分に発揮できるんじゃないかなと思っています。
(社長)僕が考えている「ハイケムのコア・強み」というのは、さっきは「ボトルネック」と言ったんですけれども。
「商社」と「メーカー」というところから、規模を拡大すると「中国」と「日本」というところまで、二つのまったく違う考え方とか物事の進め方とかについて、やっぱり全然違うんだけれども、どうしても離れられない関係であるということを、ハイケムは心の底からわかっているということだと思います。
ちょっとまあ、くさい言い方なんですけど、「人間っていうのは、時々は信じられないぐらい協力して何か物事を進めることができる時もあるし、一方で、どこまで行っても絶対分かり合えないなっていうこともあるんですね。」
組織とか会社の単位でそういった認識を持っているっていうことが、僕はハイケムの一つコア・強みになるのかなと思っています。
地政学リスクと長期的事業継続性について
(社長)非常にクリティカルな事実として、まず我々がやっている化学品っていうものは、生活のインフラです。
我々はこの規模の会社にしては、化学って呼ばれる領域で、ほぼあらゆる領域にちゃんと根差して、事業を推進している点は強みだと思っています。当社の過去数十年の業績を見てもそうなんですけども、何かが悪くても、何かが良いっていう事がずっと続いていることは大きいですね。
そして今、イランのホルムズ海峡での緊張が高まり、ナフサの供給に影響が出るような事態が起きれば、現在の化学品はほとんど石油由来のナフサを原料にしていますから、ありとあらゆるものが値上がりして、作れなくなるみたいなことも起こってきます。
特に、日本・中国・韓国などの 東アジアっていうのは、ほとんどの化学品原料は、中東由来の原料供給の影響を受けやすい構造にあります。ですから、こういったホルムズ海峡での危機といったことが起きると、生活が危うくなるかもしれない状況に陥ります。
そうすると、これまでハイケムがずっと研究を重ねてきた。合成ガスから化学品をつくる「C1技術」や、PLA(ポリ乳酸)やバイオマスを資源として化学品を作る「バイオ技術」などの技術が生きてくるのではないかと考えています。
こういった特殊な状況でなければ、脱炭素とかカーボンニュートラルとか聞こえはいいけれども、「コストがかかるから、すぐやらなくてもいいよね。」と思っていたところから、「人々の生活を守るためのセキュリティ」っていう認識に一旦格上げされると、ハイケムが取り組んできたこれらの技術の社会実装は、これからどんどん加速して進んでいくんじゃないかなと思います。
ハイケムは、「石油由来でない化学品をどうやってつくっていくか」という技術において、独自のポジションを築いています。我々にとってこれは大きなチャンスだと思います。
デジタル変革と組織の未来図
(社長)多分こういう新しいテクノロジーに対する意見が、 若い人と上の世代の別れ目になるんだろうなと思いますが、僕は両方の側面で捉えてます。
例えばパソコンが出てきたことによってなくなった仕事はすごくたくさんありますよね。だから、当然 AIが出てくることによってなくなる仕事もいっぱいあるんだと思います。
よく言われていることですけれども、頭の良さというか、IQが必要とされるような能力ですね。まとめるとか、うまく資料を作るとか。そういったものは多分、これから急速に必要性がなくなっていくんだろうなと思う一方で、やっぱり人間同士の関係、すなわち「リアル」なところにもっと価値が出てくるだろうと思います。
やっぱり究極のところ人間は人間にしか興味がないんだろうなと僕は思っています。人間は人間にしか課金しません。
皆さんの営業活動についても、AIでいろいろ準備していいんだと思うんですけれども。最後はやっぱり、「人間としての力」つまり「人間力」を発揮してもらいたいと思っています。
だから、私が1兆円の目標を立てた時に、皆さんに持ってほしいとお話した、
「勇気を持つ」
「忍耐する」
「寛容である」
といった、いわゆるAIではできないこういったことが、まあ個々人はもちろんそうなんですけれども、会社としてもそういった文化が根付いていくような会社になると、中長期的にはすごく求められる会社として、事業を続けていくことができるんじゃないかなと思ってます。
(副社長)僕はそもそもこういう機械とか結構弱いです。 パソコンもほとんど使いたくない(笑)。 こういう技術の進歩はそんなに好きじゃないです。
ただ、 今回のAIについては、やっぱりすごく生産力にプラスになるのかなと思っています。ずっと悩まされてきた通訳もそうですね。入社当時は、本一冊くらいのものを2日間で翻訳してくださいみたいな仕事があって、よくそういう作業を徹夜でやっていました。 それを今のAIは一瞬でやってくれます。
また、現場では結構無駄があります。とくに物流などの部署で多くの時間を割いてた単純な業務から社員を解放してくれるのは非常にいいことだと思います。
だから、そういうところで、我々はAIを積極的に導入していく。他の会社をいろいろ見てきて思うことは、ハイケムは結構こういう新しい技術について、いち早く導入する方だと思いますね。 全然拒否もしないし、だから、私もあんまり反対意見を出さずに、まず自分で試して使ってみようと、そういうふうに考えています。
次世代の人材育成とグローバル戦略
(副社長)私が一番重視するのは、やはり挑戦できる人間です。新しいことに対しても、怖がらずに挑戦することが大事だと思います。そういう積極的な人間が一番重要です。
グローバル化については、他の1兆円の企業と比べたら、我々のグローバル化はまだ本当に進んでいません。 現状では、中国と日本で9割以上を占めています。 それでも継続的にアプローチしないといけないと思っています。我々の一番のリソースである、中国の原動力を世界のどこかで展開しなければならない。
我々は中国のマーケットにもタッチできるし、欧米のマーケットにもタッチできる良いポジションを築いています。そういう点においても、すぐ結果は出なくても諦めずに挑戦し続ければ、きっと成果につながっていくのだと思います。
(社長)ハイケムのいうグローバル化っていうのは、グローバル化そのものを目的化しているものでは当然なくてですね。
日本も非常に大きくて、いろんな資源とか技術がある国で、中国ももちろんそうで、世界でも有数の資源や技術を持つ隣国として 、この「二つの国の強いところを掛け合わせて、どう世界に展開をしていくか」ということを考えていくことが、ハイケムの考えるグローバル化の基本です。
それを言うと、ハイケムにとってのグローバル人材にまず必要なのは、「日本と中国への理解」です。 日本の強み、中国の強み、この二つをちゃんとわかって、それを合わせられるような人材。それがやっぱり一番大切かなというふうに思ってます。
「We are the BRIDGE」という価値観に僕は全部込めているつもりですけれども、懸け橋であるということは、やっぱり非常に難しいです。 本当にそういうことをやろうと思ったらですね、「勇気」、「忍耐力」、「寛容な心」、まあそういったものを、まずは持ってもらいたいなと思いますね。
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後編では、1兆円企業を目指すうえでの課題や、商社とメーカー、日本と中国という二つの強みを掛け合わせるハイケムならではの競争力、そして次世代人材に求められる姿勢について語られました。
「We are the BRIDGE」という言葉に込められたように、異なる価値観や市場、技術をつなぎ、新たな価値を生み出していくこと。今回の鼎談は、これからのハイケムが目指す姿を改めて共有する機会となりました。


