HighChem Story

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第4回「Integration Bridge」商社機能とメーカー機能の融合実現に向けて
―社長・龍総経理・陳総経理 鼎談レポート

「HighChem Story」でお届けしている連載企画「BRIDGE TO THE FUTURE ~新体制が描く未来への懸け橋~」。

第4弾では「Integration Bridge」と題し、高裕一社長と、中国・上海を拠点に商社部門を率いる龍月元総経理、そしてメーカー部門を率いる北方本部・陳国平総経理による鼎談を行いました。

今回のテーマは、ハイケムが次の成長ステージに進むための重要なテーマの一つである「商社機能とメーカー機能の融合」です。

ハイケムは創業以来、日中間を中心とした化学品の貿易を通じて成長してきました。一方、近年は自社製品や技術、製造拠点を持つメーカーとしての機能も着実に拡大しています。

商社として培ってきた市場開拓力やネットワークと、メーカーとしての技術力・製造力。それぞれ異なる強みを持つ二つの機能を、どのように結び付け、新たな競争力へと変えていくのか。

商社事業、メーカー事業それぞれのこれまでを振り返りながら、ハイケムが目指す「融合」の姿と、その先にある未来について語り合いました。

第一部 ハイケムの挑戦の原点
「商社事業のこれまでとこれから」

第一部では、高社長が龍総経理に問いかける形で、ハイケムの挑戦の原点ともいえる商社事業のこれまでと、これからの成長について掘り下げました。

2004年から上海の事業に携わり、長年にわたりその成長を支えてきた龍総経理。上海事業の立ち上げ期の苦労から、成長を支えた「人」の力、日中貿易ならではの難しさ、そして2030年を見据えた商社事業の方向性まで、高社長とのやり取りを通じて振り返ります。

─ ハイケムの挑戦の原点である「商社事業」は、20年以上にわたり事業を拡大してきました。その成功の鍵は何であったとお考えですか。

(龍総経理) 上海では2003年に事務所を設立し、私が参画したのは2004年です。当時の上海はまだ組織として未熟で、ビジネスを行う組織として十分な体制が整っているとはいえない状態でした。ですから、上海に来てからはその立て直しに大きなプレッシャーを感じましたし、その後の数年間は最も苦労した時期でもありました。

その上海がここまで大きく成長できた一番の鍵は、やはり「人」だと思います。

会社がまだ小さかった2003年当時から、浙江大学や復旦大学など、中国の優秀な大学から学生を採用できていました。これは、当時からの会長の判断によるところが大きかったと思います。

会長は以前から「型にはまらない人材を登用する」ことを大切にしていました。

私自身、長年会長の下で学んできましたが、「人を登用する力」は、リーダーであっても組織の中核を担う人であっても、必ず身につけなければならないものだと考えています。

組織にとって最も重要なものは「人」です。

会長も以前から、「私たちにとって最も重要な資産は人であり、社員である」と話していました。この「人が最も重要である」という考え方こそ、私が現在に至るまで大切にしているものです。

─ 日中貿易において、最も難しい点は何だと思いますか。

(龍総経理) 日本向けに輸出する場合、日本側から案件を受け、中国でサプライヤーを探して調達を行います。その中で非常に難しいのが、中国で日本の基準に合わせた品質管理を行うことです。

中国のサプライヤーと日本市場では、品質管理に求められる基準や運用に違いがある場合があります。例えば、実際の案件では、純度99.9%という高純度の製品であっても、日本側では残り0.1%の不純物まで詳細な管理を求められるケースがあります。

こうした異なる考え方を理解し、乗り越えていくためには、私たち上海側も「日本品質」とは何かを理解し、日本と同じ目線で品質を管理しなければなりません。

これまで上海では数多くの貿易案件やOEM案件などを手掛けてきましたが、大きな品質事故を起こすことなくここまで来られたのは、中国側の社員一人ひとりの努力の積み重ねによるものです。この点は、ぜひ強調しておきたいですね。

─ 来年から新たな4か年の中期経営計画が始まります。2030年を見据えた時、ハイケムの貿易事業はどのような姿を目指していくのでしょうか。今後、重点的に取り組む分野についても教えてください。

(龍総経理) 貿易部門は会社設立以来、大きな成長を遂げてきました。

ここからさらに売上高を倍の規模にしていくことは、決して簡単ではありません。ですから、これからは単純に売上規模だけを追いかけるのではなく、「利益を重視した経営への転換」が必要だと考えています。

そのために最も重要なのが、「商社から、自社製品を持つ商社へ」という転換です。

現在の「セランダー®」事業は、その良い例だと思います。また、自社工場で生産していなくても、自分たちの技術を提供して生産する製品もあります。現在、そうした重要なプロジェクトがいくつか動いています。

重要なOEM製品についても、中国の生産拠点を活用しながら、日本だけでなく世界へ展開していくことができるでしょう。

こうした取り組みを強化することで、商社としての安定性を維持しながら、事業をさらに大きくしていくことができると考えています。

─ 今後、上海と東京の間でどのような分野の連携をさらに強化する必要があるとお考えでしょうか。また、貿易事業をさらに成長させるためには、どのような人材が必要でしょうか。

(龍総経理) 今後、大型プロジェクトやOEMのような事業を進める場合、日本の経験だけでも、中国の経験だけでも不十分だと思います。

日本の商習慣やビジネスモデルを理解していること。そして、中国の実情も理解していること。この両方の知識を持つ人材が、日中間におけるOEMや技術移転のような事業を、よりうまく進めていけるのではないでしょうか。

中国にいる私たちは、実際のところ日本の状況について十分に理解できていない部分があります。一方で、日本の社員も中国に対する理解がまだ十分ではない部分があるのではないかと感じています。

日本の社員の皆さんには、もっと頻繁に中国へ足を運び、中国についてさらに深く理解してほしいと思います。

中国にはどのような人たちがいて、どのような人たちと関係を築く必要があるのか。そして、中国ではどのような方法で仕事が進められているのか。

こうしたことを実際に見て理解することが、これからの日中間のビジネスにおいて非常に重要だと思います。

第二部 ハイケムの強さの源泉
「メーカー事業のこれまでとこれから」

第二部では、高社長が陳総経理に問いかける形で、ハイケムのメーカー事業の現在地と今後について掘り下げました。

ハイケムを外部から見てきた経験を持ち、現在は内部からメーカー事業を率いる陳総経理。その視点から見たハイケムの強みとは何か。また、製造事業をさらに成長させるために、技術、組織、仕組みの面で何が必要なのか。

高社長とのやり取りを通じて、メーカー事業が抱える課題と、今後目指すべき方向性が語られました。

─ 陳総経理はハイケムを外部と内部、その両方の視点から客観的かつ総合的に見てこられたと思います。陳総経理から見たハイケムの最大の強みは何ですか。また、今後さらに改善・強化していくべき点はどこだと思いますか。

(陳総経理) 私が初めてハイケムと接した時のことですが、会長が数人のメンバーを連れて来られて、「とにかくお酒が強い」というのが第一印象でした(笑)。

そして、もう一つ感じたのが、非常にプロフェッショナルな会社だということです。

当時のハイケムはまだ小規模でしたが、非常に専門性が高く、粘り強いチームだという印象を持ちました。

そして、私が強く感じたのは、「ハイケムは橋を懸ける会社だ」ということです。

企業が発展していくためには、新しい技術や新しい協力関係が必要です。そうした技術やパートナーを、ハイケムは世界中から探し出して結び付けてくれる。

必要なものを探し、企業と企業、人と人、技術と市場をつないでいく。

それがハイケムの大きな価値であり、最大の強みだと思いました。

─ 一方で、改善すべき点はありますか。

(陳総経理) もちろんあります。

一つ目は、「業務の標準化とデジタル化」です。

ハイケムはこれまで急速に成長してきました。そのため、多くの仕事が担当者個人の経験や能力によって支えられてきた部分があります。しかし、会社の規模がここまで大きくなった今は、それだけでは十分ではありません。

個人の経験だけに頼るのではなく、会社の仕組みとして標準化していく必要があります。

誰が担当しても、同じ品質で仕事ができる。そのような体制をつくっていかなければなりません。

そのためにもデジタル化は欠かせません。データを蓄積し、共有し、誰もが活用できる仕組みを整備していくことが重要です。

もう一つは、「部門間の連携」です。

会社が大きくなるほど、どうしても部署ごとに仕事を考えがちになります。しかし、本来は会社全体として成果を出さなければなりません。

営業部門、製造部門、研究開発、品質管理、管理部門も含め、全員が一つの目標に向かって協力することが重要です。

そういう意味でも、「橋を懸ける」という今回のテーマは、とても良いテーマだと思います。

部門と部門、会社と会社、技術と市場、そして人と人をつないでいく。

その役割を果たしてこそ、ハイケムはさらに成長できる企業になれると思います。

どの部署であっても、自分の仕事だけを見ていてはいけません。

「相手が何を必要としているのか」「自分は何を提供できるのか」。

常にその視点を持つことで、会社全体としてより大きな価値を生み出すことができると思います。

─ 製造事業には現在、どのようなボトルネックがあるとお考えですか。また、製造事業を円滑に進めるためには、どのような変化が必要でしょうか。

(陳総経理) まず、ボトルネックとして挙げられるのは「技術」です。

製造業においては、技術で先行することが何より重要です。しっかりした技術があれば、自信を持って事業を進めることができます。

そのため、研究開発は常に先を走らなければなりません。

「半歩先ではなく、一歩先へ進まなければならない」ということです。

技術的な先行性をいかに確保していくか。これが製造事業における重要な課題の一つです。

二つ目は、「マーケティングと販売」です。

ハイケムの仕組みは一般的な製造企業とは少し異なり、大規模な営業組織と貿易組織があります。この力を十分に活用しなければなりません。それができれば、事業の効率が上がり、収益性も高まります。

また、製造業と貿易業の大きな違いは、実際に「生産を行う」ということです。

生産管理はもちろん、安全や環境への対応も重要です。そして、もう一つ重要なのが「在庫」です。

在庫を過剰に抱えることはできません。特に化学品は、製造した後に販売できなければ、生産を継続していくことが難しくなります。

こうした製造業特有のマネジメントについては、私たちも会社全体として、まだ経験を積んでいく必要があると思います。

─ 部門間連携について、陳総経理のお考えを教えてください。

(陳総経理) 会長がよく話している、「利益の出口を一つにする」という考え方が非常に重要だと思います。

工場や関連事業を統合していく上で、重要になるのが利益配分の仕組みです。

それぞれの社員、それぞれの部門が成果を共有し、利益を共有できる仕組みをつくる必要があります。

そうすることで、製造事業と貿易事業を統合し、一体となって発展させることができるのではないでしょうか。

第三部 未来への懸け橋
「商社とメーカーの融合」

商社とメーカーでは、事業に対する考え方も、収益構造も、抱えるリスクも異なります。しかし、その違いこそが、互いの強みを組み合わせた時に大きな競争力を生み出す可能性を秘めています。

市場に最も近い商社部門と、技術・製品を生み出すメーカー部門。それぞれが相手の立場を理解し、一つのサプライチェーンとして動くことができれば、ハイケムならではの新しい事業モデルにつながります。

鼎談の最後に、3人が考える「商社とメーカーの融合」の意味と、その実現に必要なことについて語り合いました。

─ 商社事業とメーカー事業の最大の違いとは何でしょうか。

(高裕一社長) 貿易と製造では、考え方が根本的に違います。一方は「市場を切り開く」立場であり、もう一方は「モノづくりを支える」立場です。

貿易の立場からすると、基本的には「利益の出るところへ行く」という発想になります。

例えば、商社は、市場機会や顧客ニーズに応じて、柔軟に事業領域を変えていくことができます。一方、製造はそうはいきません。

例えば上海に工場を建てたとして、「上海では利益が出ないから、明日から別の場所に移そう」ということはできません。

工場はそこにあり、設備も人もいます。簡単に場所を変えることはできないのです。

ここに、貿易と製造の考え方の大きな違いがあります。

その違いを理解するためにも、私は以前から「相手の立場に立って考えること」が大切だと話してきました。

今こそ、それを実行してほしいと思います。

(龍総経理) そうですね。相手の立場で考えれば、見え方も変わってきます。

工場の立場からすれば、「この製品をつくった以上、きちんと売ってもらいたい。価値ある製品として市場へ送り出してほしい」という考え方になります。

一方、貿易は「今日はこの製品を売り、明日は別の製品を売る」というように、市場のニーズに応じて柔軟に動きます。

その違いは、当初、私たちにとってなかなか理解しづらいものでした。

しかし、時間がたつにつれて、私たちも「工場は設備を簡単に止めることができない」ということを実感するようになりました。

貿易であれば、人件費を中心に考えればよい場合もあります。しかし工場では、設備を保有し、維持するだけでも大きな固定費が発生します。設備を止めたままにすれば、それ自体が大きな損失につながります。

それでも、お互いに理解しづらい部分があるのは当然です。

だからこそ、私たちは「メーカー機能を持つ商社」を目指しているのだと思います。

現在は、東京本社から「このプロジェクトには将来性がある」という提案があり、それをもとに研究開発を進め、その後、生産部門へ引き継ぎ、実際に生産した製品を販売していくという流れが生まれています。

これは、まさに貿易と製造が融合し始めている実例です。

ここ5年ほどで、両者の融合は着実に進んできていると感じています。

(陳総経理) 会社がさらに成長するためには、自社製品を持つことが欠かせないと思います。

そして、この融合をさらに進めるために必要なのは、何よりも「両者のコミュニケーションを密にすること」です。

実際、私自身も以前は、貿易部門から「この製品は売れません」と言われても、なかなか納得できませんでした。

しかし、改めて考えてみると、製造部門も「自分たちがつくりたい製品」をつくるだけではなく、市場が必要としている製品をつくらなければなりません。

自社製品について、「品質はどうなのか」「市場はどうなっているのか」「お客様は誰なのか」というところまで考える必要があります。

そして、その橋渡し役となってくれるのが、まさに貿易部門なのではないかと思っています。

今では、私たち製造部門もそのことを十分に理解できるようになりました。

例えば、複数ある生産ラインでも、一種類の製品だけをつくり続けるのではなく、市場のニーズに合わせて品目を切り替えながら運営しています。

お互いの立場を理解し、さらにサプライチェーン全体を理解して、生産から販売までを一体となって考えることができれば、それはハイケムにとって非常に大きな力になるはずです。

そのために何より重要なのは、やはり日頃からのコミュニケーションだと思います。

商社とメーカー、二つの強みを一つの力へ

今回の鼎談で3人に共通していたのは、商社とメーカーの「違い」をなくすのではなく、互いの違いを理解した上で、それぞれの強みをつなぐことが重要であるという考えでした。

市場を見つけ、顧客のニーズを捉え、世界へ展開する商社機能。そして、技術を磨き、製品を生み出し、安定して供給するメーカー機能。

ハイケムがこれまで培ってきた二つの力をつなぎ、「自社製品を持つ商社」「メーカー機能を持つ商社」へと進化していく。その実現には、組織や制度だけでなく、一人ひとりが部門や国を越えて相手の立場を理解し、同じ目標に向かうことが欠かせません。

企業と企業、人と人、技術と市場をつないできたハイケム。

その「橋を懸ける力」を、今度は社内の商社機能とメーカー機能の間にも懸けていく――。

「Integration Bridge」は、ハイケムが次の成長ステージへ進むための、新たな懸け橋です。